「国語」の授業では「読解力」をつけることはできない その1

2020年の入試改革のキーワードに「読解力」というのがあります。みなさんは「読解力」と聞いて何の教科を思い浮かべますか? 国語と答える方がほとんどでしょう。でも、ここでいう「読解力」を国語の授業で身につけることは難しいのが実際です。そもそも「国語」という教科と「読解力」が結びついていないのです。

えっ、と思われるかもしれませんが、皆さんが小、中、高校で学んだ「国語」の授業を思い出してください。「読解力」はその授業で身につけてこられましたか? 良い先生に出会われ、学校の授業で「読解力」を身につけさせてもらえた、という稀な方もあるでしょう。でも、多くの方の国語の授業のイメージは「文学作品」を読んでいた、というものではないでしょうか。

学校の先生方は、国語という教科を通して文学的なものを教えようとする傾向が強い、といえるのではないでしょうか。実際、小中学校の国語の教科書には文学作品が多く掲載されています。1年を通じて文学作品だけをピックアップして授業であつかう先生が今でもいます。文学を通して他者とを理解する想像力を養ったり、登場人物に共感することで人と社会の関わりを考えたり、といったことを目指している、といえるのです。それはそれで、国語という教科のもつ大きな目標点でもあるのでしょうが。

ただ、2020年改革と結びついている「読解力」は「Reading Literacy」というものです。これはPISA型の読解力といって「自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,効果的に社会に参加するために書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力」と定義されるものです。これは今までの「国語」という教科の中で扱われてきた「読解力」とはまったく別のものです。

文科省も「我が国の国語教育等で従来用いられていた「読解」ないしは「読解力」という語の意味するところとは大きく異なることに注意する必要がある。」と言っているぐらいです。

最近の中学入試、高校入試、大学入試の国語には、テキストだけでなく、図,グラフ,表などのを含んでいることが多くあります。PISA型の「読解力」は、テキストだけでなくそうした「非連続型テキスト」も対象としているからです。また、実生活の様々な場面をテーマにした問題文もよく見かけるようになりました。これもPISA型の「読解力」が、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるか、を目的としているからです。

そうなんです。そもそも「国語」という教科があつかっていた「読解力」と、2020年の入試改革のキーワードになっている「読解力」とは、まったく別のものなんだということです。そして、多くの方が感じている「子どもに読解力をつけさせなければ」という「読解力」は後者のものなんです。ですから、学校の「国語」の授業で、その「読解力」をつけるのは難しい、ということになってしまうわけです。

それでは、PISA型の「読解力」を子どもに身につけさせるにはどうすればよいのか、ということについては稿を改めます。