京都大学の山極総長の入学式での祝辞が良いです

京都大学の入学式での式辞がとても良いです。中高生にはぜひとも読んでおいてもらいたいですし、保護者の方にも目を通していただきたいものになっています。

京都大学の現在の総長は、山極寿一さんです。中高生は、中3時の国語の教科書で「作られた『物語』を超えて」という作品を読んだことがあるか、これから読むことになるはずです。多くの中学校で採択されている光村版の教科書です。人間が身勝手な解釈をもとに「物語」をつくり出すことについてゴリラを例に述べられた文章です。

そうなんです。山極寿一という方は、人類学、霊長類の学者さんで、ゴリラ研究の第一人者なんです。

「作られた『物語』を超えて」という教科書の文章もとても示唆に富んだ作品で、今の中学校の国語の教科書の中でもわたしが最も好きな教材のひとつでもあります。思考力や発想力を育むにはどうすればよいかの示唆にも富んでいて、保護者の方にも読んでいただきたい文章にもなっています。そんな山極先生が、京都大学の総長として新入生に向けてお話しされた式辞なんです。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/president/speech/2019/190405_1.html

前半は、京都大学の特長を述べられているので、真ん中あたりの「さて、では常識にとらわれない自由な発想をするにはどうしたらいいのでしょうか。」のあたりから読み始めて良いでしょう。とくに宮沢賢治の詩が出てきたあたりから先をしっかりと読んでみてください。以下の部分です。

現代は、宮沢賢治が生きた時代と違って、大学にも国際化の大きな波が押し寄せています。みなさんの将来活躍する舞台も、日本という国を大きく越えて世界に広がっています。地球社会の調和ある共存のために、解決すべき課題がたくさんあります。・・・・・そのためには、日本はもちろんのこと、諸外国の自然や文化に通じ、相手に応じて自在に話題を展開できる広い教養と、常識を疑いつつ真理を追求する気概を身につけておかねばなりません。理系の学問を修めて技術畑に就職しても、国際的な交渉のなかで人文・社会科学の知識が必要になるし、文系の職にも科学技術の知識が必要な場合は多々あります。世界や日本の歴史にも精通し、公共知識人、すなわちパブリック・インテレクチュアルたりうる質の高い学知を持っていなければ、国際的な舞台でリーダーシップを発揮できません。

変化の激しい時代、先の読めない時代だからこそ、パブリック・インテレクチュアルたりうる学知を身につけるべきだと山極さんはおっしゃっています。その通りだと思います。知識を身につけるのではなく、それをどう使っていけるか。そのためには、横に広がった幅のある学知が必要だからです。そんな子どもたちに育って欲しいですし、微力ながら、miyajukuに集った子どもたちにはその「根」になる部分だけでもここで身につけていって欲しいです。