子どもたちの将来をほぼ正確にうらなう一問 その2

昨日の問題は見ていただけたでしょうか。

著者は2011年に全国のさまざまな大学生6000人に対して学力調査を実施しています。48大学90クラス。大学受験を終えたばかりの1年生です。その時の5題のうちの1題が昨日の問題でした。

この問題のレベルは、ちょうど、今回の中2の中間試験の範囲です。しかも、教科書の例題レベルの問題です。著者の調査は、大学で学ぶための準備が出来ているか、看護学、経済学などにかかわらず大学に入学して初年度の教科書を読んで理解できる学生がどの程度いるのかを知ることが目的でした。

この問題の正答率は34%だったとのこと。数学の問題ですから理系なら出来ただろう、と思う方もいらっしゃるでしょう。理系に限っての正答率は46.4%だそうです。半分弱が出来ているんだからいいじゃないか、と考えてしまって良いのでしょうか・・・・・ 著者も言っていますが、この問題はある意味では「人生を左右する問題」なんです。できないとまずいのです。

あっ、正答ですね。

(b) いつも必ず奇数になる。 

(理由) 偶数と奇数は、整数 m、n を もちいて、それぞれ2 m、2 n + 1 と表すことが できる。そして、 この 2 つの整数の和 は 2 m +( 2 n + 1)= 2( m + n)+ 1 となる。 m + n が 整数 なので、 これは奇数である。

著者は調査の結果を丹念に分析し「正答+準正答」「典型的な誤答」「深刻な誤答」「白紙」に分類しています。それを大学の偏差値で「国立S、国公立A、国公立B、私大S、私大A、私大B、私大C」にわけて整理しています。その結果が下のグラフです。

この表をどう読みとるかはみなさんにお任せします。

さて、深刻な誤答というのはつぎのようなものです。

例1 2 + 1 = 3、 4 + 5 = 9 のように。
例2 全部やってみたらそうなった。
例3 偶数を奇数にするには、偶数を足してもダメだが、奇数を足せば良い。
例4 三角と三角を足したら四角になるのと同じで、四角と三角では四角にならないから。

例示と証明の違いがわかっていない。問われていることをそのまま繰り返しているだけ。たとえ話と証明の区別すらついていない・・・ いずれも、大学で「論理的なキャッチボール」ができる能力を身につけていなどころか、教科書をまともに読む能力があるとは思えない、という意味で「深刻なレベル」ということです。

実は、著者はあの東大を目指したAI搭載のロボット「東ロボくん」のプロジェクトも同時におこなっていた方です。AIとの比較の中で、これからの子どもたちに必要なチカラとは何なのかをこの本の中で述べています。

つづきは次回に

図は「AI vs. 教科書が読めない子どもたち 新井紀子著」より