10分良書作文コンクール 生徒の作品③ 中学生の部 最優秀賞
「10分良書作文コンクール」にmiyajukuから入賞した生徒たちの作品を載せていきます。簡単にどこが良かったのか、こうすればもっと良くなる、というわたしのコメントも書いていきます。作文を書いた本人だけでなく、友だちの作文を読んで、その他の生徒たちもこれから文章を書いていく上での参考にしてください。
3回目は「中学生の部で最優秀賞」を受賞した「中3生の宮崎昭徳」くんの作品です。
題:物理のおもしろさ
理科の物理分野で「慣性の法則」を学んだ。
それを知って、僕は車の中での体験を思い出した。車に乗っている時、車が曲がると自分の体は反対の方向に傾く。僕は今までその原因が分からなかった。しかし、慣性の法則で物体が静止している時は静止した状態を保とうとするため、車が右に曲がると体は今まで状態を保とうとして体は必然的に左に傾くということを理解した。
また、坂道を転がるボールは急な坂ほど速くなる。この現象にも原因があり、物体の重力を分解して斜面を垂直に押す力と前に進む力にするが、この時に斜面が急になるほど分解した時の前に進む力が大きくなるため、速くなるということも理解できたのだ。
物理とは世の中にあふれる色々な現象を裏づける分野であり、驚きを与えてくれる分野である。これからも世の中の不思議な現象を物理分野で裏づけしていきたいと思う。
だから、僕は物理はおもしろいと思う。
小池先生の講評です。
最優秀賞の宮崎昭徳「物理のおもしろさ」は、読んでいて思わずうなりました。すごい、と。理科の授業で習った知識をもとに、日常に見られる現象を具体的に分析しています。複数の論拠のまとめかた、全体の論理的構成についてもとてもうまい。完成度の高い作品になりました。
小池先生がセミナーの中でもおっしゃっていましたが、論理的な構成で文章を書いたとき、どれも似たようなものになって差がつきにくくなる。そんな中、論拠の部分の具体性が作文を書いた作者の個性を出しやすい。だから、論拠の部分の具体性がとても重要だ、ということです。
宮崎君のこの作文も「クルマでの体験」と「坂道をころがるボール」というふたつの具体的な例をあげているところが良いです。さらに、それを「物理とは世の中にあふれる・・・」という段落でしっかりと抽象化している。この段落があっての最優秀賞ということでしょう。
話題→論拠→論拠→抽象→主張 という論理構成。もちろん「ひとつの書き方」ではありますが、先ずはこの「型」をしっかりと身につけていけば、ある程度の論理とともに説得力のある文章を書くことはできるようになるはずです。今回のコンクールに参加したみんなは、ぜひともこの論理構成を身につけてこれからは文章を書くようにしていきましょう。
きっと説得力のある良い文章が書けるようになるはずです。