10分良書作文コンクール 生徒の作品④ 中学生の部 最優秀賞
「10分良書作文コンクール」にmiyajukuから入賞した生徒たちの作品を載せていきます。簡単にどこが良かったのか、こうすればもっと良くなる、というわたしのコメントも書いていきます。作文を書いた本人だけでなく、友だちの作文を読んで、その他の生徒たちもこれから文章を書いていく上での参考にしてください。
4回目は「中学生の部で優秀賞」を受賞した「中1生の柳田ふらの」さんの作品です。
題:激痛!歯科矯正
私は、歯科矯正を中学生になって始めた。
口の中に、等間隔に宝石がついたブレスレットのようなワイヤーを入れると、歯が締め付けられるようにギシギシと痛み、器具と歯茎がぶつかり炎症を起こす。そして、食いしん坊の私が食べられない最悪の状態になる。それに加えて歯磨きもしずらい。主に米粒やわかめが歯と器具の間に詰まり、それらを取る事は難しい。面倒な事に歯磨きには専用歯ブラシが三本必要で歯磨きをさぼると虫歯だらけになる。
矯正すると歯並びがよくなり、美味しく食べるための嚙み合わせを手に入れることが出来る。今まで自分は歯並びが悪い事で写真を撮る時に最高の笑顔をつくれず、自分に自信が無くなるのだ。これから先の人生、にっこり笑った時に綺麗な歯並びの素敵な笑顔を沢山の人に届けたい。
歯科矯正にはメリットとデメリットがあった。
美しい歯を手に入れるための近道は、歯にブレスレットをつけてただただ我慢する事だ。
小池先生の講評です。
柳田ふら野「激痛!歯科矯正」は、「歯科矯正」のつらさを具体的に記述することができています。出来事の説明、描写という点では、今回読んだすべての作品の中で随一でした。
小池先生の講評にあるように「出来事の説明、記述」の面ではすばらしいものがあります。この作品は最初は800字ほどありました。それを400字にまとめ直したものです。もとの文章にはもっと具体的描写がたくさんあったのですが、逆に400字にまとめ直すことで「より読むものに伝わる文章」になったと思います。
自分の体験です。具体的に書けるのは当たり前だ、ということもいえるでしょう。でも、意外に自分のことを描写するのは難しいものです。自分の痛みを客観視できる「もう1人の自分」がいないと難しいからです。この作品ではそうした「目」による表現がしっかりとされています。
また、擬態語や擬音語を多用するのはよくないですが、ここぞというところで使うと効果は抜群です。「ギシギシ」が読むものに「痛そう」という感覚を呼び覚ますのにとても効果的です。皆さんも積極的にこうした表現技法は使ってみてください。
4つの作品を見てきましたが、これら意外にも入賞した作品を含めて良いものがたくさんありました。文章を書くのが苦手だ、という生徒は多いです。どうすれば良いか。まずは、書く方法についてしっかりと学ぶことです。「型」を身につけることです。自分勝手な書き方をしているかぎりなかなか上手にはなれません。