ちくま評論入門

今日は高3生の現代文の授業からスタート。夏講習になって使っている教材は「高校生のための現代思想ベーシック/ちくま評論入門」というもの。編者の言葉につぎのようにある。

この本は、自分の頭で考えようとする若い人々のために、その思考を豊かで確かな場所に導くことを願って作ったものである。人間は与えられた現実のなかに生まれ育つのだから、そのままでは自由なものではない。考えること、より深く考えることで、自由になるのである。もはや子どもではない、しかしいまだ大人でもない、という若い人々の置かれた立ち位置は、思考が目覚める場所である。

入門・ベーシックとあるが、かなり骨のある文章が並んでいる。普通の高3生には読み解くことはちょっと難しいだろう。今時の高3生の「教養」のレベルはとても低い。というよりも、その辺の大学生でさえ、この本を読んで理解することは厳しいかもしれない。

現代文を読解するチカラはそのまま「教養」のチカラに結びついている。もちろん、英文解釈のような読解の技術が必要な面もある。面倒なテーマの文章では、展開にそってチャート図を描く必要も出てくる。でも、国語の読解というのは、数学の問題を解くような「整合性」だけではどうにもならない部分がある。そのどうにもならない部分というのが、読み手の「教養」のレベルなのだ。

この「教養」という部分はとても「あいまい」なので、学習塾で国語という教科をあつかうのはとても難しい。学習塾では「数字」が優先される。3×4=12という「きっちりとした解答」が出てくる教科が優先される。国語のような「あいまい」な解答しかでてこない教科はどうしても後回しになってしまう。

実は、この傾向は学校の現場や子供たちの意識の上にも大きなかげを落としている。子供たちは「はっきりとした答え」を求める傾向があまりに強い。「あいまいさ」を嫌うのだ。結果、国語のような教科を嫌う子供が増えてしまう。

話がわき道にそれたが、「ちくま評論入門」という本。一冊1,000円です。お父さん、お母さんも、知を磨く一冊として読んでみてはいかがでしょうか。

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