成績を上げるための最も大切なことは
中学生に「今、学校で何を勉強している?」と私は良く問いかけます。何を学習しているかを知りたいからではなく、その子がどの程度自分の学習している内容をわかっているかを知りたいための質問です。ひどい子は「わからない」といいます。信じられないことですが、自分が学習している内容が「わからない」のです。社会の歴史の学習で、自分が何時代を勉強しているのか、そんなことさえも「わからない」のです。実は、そんな中学生はたくさんいます。
学習塾は成績を上げることが使命です。そこで、塾教師としての私は、生徒たちに「君たちは今こんな学習をしてるんだよ」ということを徹底的に説明します。そうすることが成績アップの「きも」になるからです。ただ、ここに私の悩みもあるのです。「何をやっているのか」を徹底して教えることは、「何をやっているのか」を自分で考えるチカラをうばうことになります。いつまでたっても「今自分が学習している」ことを「自分で把握するチカラ」が身につかない生徒にしてしまっていることになるからです。
こうした生徒は、高校生になってとたんに勉強に行き詰まってしまいます。自分で自分の「今」をしる術をもっていないからです。さらに、こうした人間は、社会に出てからもまったく「つかえない人間」になってしまいます。いわゆる「指示待ち人間」というやつです。ですから、私は「今、何を学校で勉強している?」という質問に「わからない」と答えた生徒に対しては、かなり厳しい言葉で叱責をします。
勉強というものは、その内容ももちろんですが、それを進めていく過程の中にも多くの学ぶべきことがあるのです。「今、自分がやっている学習内容をしっかりと把握すること」ができないまま、大人になっていって欲しくない。成績アップという目的だけでなく、そうしたことが出来ないと大人になった自分が困ったことになるからです。
今、自分が学んでいること。それをつねに意識していて欲しいです。
