先達はあらまほしき事なり
本屋の学参売り場での親子の会話です。
母 だから英語が大事だっていつも言ってるでしょ。
子 英語は嫌いじゃないんだけど。
母 好きだとか、嫌いだとかじゃなくて、やるしかないのよ。
子 だからここに来たんじゃないか。
母 英語の勉強は聞かなきゃだめなのよ。ほら、こんなのどうなの?
(NHKのラジオ英会話のテキストを指し示す)
子 良いんじゃない。
母 ちゃんと聞ける時間の放送なの。やんないなら買わないわよ。
子 やるよ。
母 基礎じゃなくて良いの?
(ペラペラとページをめくって)
子 基礎はわかってる。
中3の生徒のようだった。学校での進路面談の帰りなのだろう。英語をもう少ししっかりやるように、と担任に言われたのだろう。でも、何で高校受験にNHKのラジオ英会話なのだろう。うーん よっぽどアドバイスしてあげようかとも思ったが、知らないおじさんにいきなり声をかけられても怖がられるだけだろうからやめておいた。
本屋さんにはこれ見よがしに「10日で完成○○」だの「3日あれば大丈夫△△」なんて本が並んでいる。そもそも「10日」や「3日」で何が変えられるって言うんだろうか。こうした本を買う人は、その段階で受験は失敗する可能性が大だということだ。
徒然草にもあるが「すこしのことにも、先達(せんだち)はあらまほしき事なり」ということ。兼好法師の生きていた時代も今も全く変わっていない。
学習塾っていつも生徒たちの「先達」でなくちゃいけない。