<偏差値>埼玉県で「復活」
埼玉県の高校入試事情はよくわからないが、記事によると、埼玉県内の中学校の多くが学校横断的なテストを実施してその偏差値データを高校入試の資料としている、ということのようだ。ある時期、偏差値によらない進路指導を、ということが声高に叫ばれたことがあった。その時から中学校の現場から「学校横断的なテスト」は追放されている。
今の中学校の進路指導はどのようにおこなわれているのか。それはこの記事のつぎの部分を読んでみるとわかる。
【東京・神奈川・千葉の各教育委員会は「中間や期末テストなど日々の学習状況を基に進路指導している」と話している。】
高校入試の制度も、ほぼ「学校成績」のみによる前期選抜試験が中心となっている。このことが、最近は大きな問題になってきている。学力の低下という問題だ。子供たちが勉強をしなくなってしまっているのだ。子供たちが挑戦をしなくなっているのだ。あらゆる場所からそうした状況を憂える声が出始めている。
繰り返し書いてきているが、絶対評価による今の学校成績を私は良いモノだと思っている。ただ、その成績を高校入試の資料とすることに否定的だ。募集人数の1割から2割程度をそうした学校成績や面接をもとにした推薦制で採るのは良いだろう。だが、今の神奈川県のように5割も6割も採るのはどうだろうか。
15歳は、「ある程度の競いあい」を知る良い年齢なのではないだろうか。「競う」ことによって「自分を見つめ」「自分を知る」ことをしても良いのではないだろうか。「偏差値」というのは、全体の分布の中での自分の位置を知ることだ。相対的な自分の評価だ。「競う」ということは、相対的な自分の評価を知ることでもある。
いずれ「大競争」の社会に投げ出されていく子供たち。少しずつ、少しずつ、そうした世界に慣らしていくことも教育の役割だと思うのだが。あいかわらずの「小学生から、目標を持って自分の進路を決めるよう丁寧に指導している。詳細は把握していないが偏差値を出していたとしても、以前のように偏差値での(進路先の)振り分けにはならないと考える」という県教委のコメントは、相も変わらずの「お役人答弁」としか思えないのだ。