私立中学受験について
受験というのは中学受験も高校、大学受験でも同じことだが、偏差値で40を下回る学校から、70をこえる学校までの幅の中で、自分がどこを目標とするかによって勉強への取り組みは違ってくる。いちばんまずいのは、とにかく上を目指しなさい、といった学習方法だ。私立中学受験ではこのパターンにはまっている方が多い。まだ12歳での受験だし、いくらでも「伸びる可能性がある」といった錯覚が生じやすいからだ。
大手の塾では、そうしたところをうまく利用して「まだまだ上をねらいましょう」という指導になりがちだ。私のように「地に着いた目標校を持ち、それに合わせて学習計画を立てましょう」となると、多くのお母様は「それでは夢がない」と思ってしまうのか不評となる。確かに12歳での受験は可能性の塊のようなものでもある。それでも、数字は容赦がない。と同時に「どうして中学受験なのか」という原点に戻っての判断が必要かと思う。
ムリしてでも高い学校を受けて落ちたら公立中に進んで高校受験でリベンジをする、というのであれば「まだまだ上を目指して・・」でも良いと思う。しかし、公立と私立を比較して、6か年でしっかりとした教育をこの中学で受けたい、などという目標なのであれば、それこそそこに合格する学習法をとるべきだろう。
話を聞くと、日△研では算数の授業は週に1回の2コマだけという。これでは定着させるのはムリだろう。おっきな塾ではそうした足りない部分をオプションで個別指導をとらせる、という方法をとるところが多い。miyajukuは週2回が基本だが、補習を最低でも1日はとるようにしている。そのぐらい繰り返さないと定着はさせられない。小学生の学習は1回あたりの時間を増やすよりも、回数を増やしてあげた方が良いと考えている。
いろいろ話した後、そのお母さんが「今通っている小学校では、中学受験で抜けていく生徒が去年は1名だけだったんです。みなさん危機感をお持ちでないんですよ」とおっしゃった。大和市の南部の方はまだまだそんなものなのだろう。確かに、世の中のお父さん、お母さんはもっと危機意識を持った方が良いのかもしれない。公教育にぶつぶつ言うよりも、さっさとあきらめて子供に別の道を歩ませる、というのも選択肢のひとつなのだから。
とくに中位の成績の子は考えた方が良いと思う。上位の生徒は、高校受験で県立のトップ校を選択していけばよいだけだが、中位の生徒は、県立の中堅校だと日東駒専レベルにも進学するのがたいへんなのが実際だ。それならば私立中で6年間鍛えてもらう、というのもありかとも思う。
大切なことは、親が自分の子供を冷静に見つめ、その能力を的確に判断し、将来への見通しを立てることなのではないだろうか。とても難しいことだが