得点分布表から見えてくるもの
その他、どんなことが見えてくるでしょうか。
まず、グラフが正規分布をしていない、ということです。正規分布というのは、中央値の山が最も高くなり、左右にきれいに下がっていく山形のことです。テストというのはそうした分布になるほど相対的な評価がされやすくなります。この分布表を見てわかるように、今時の定期試験は、得点が高くなるほど棒が伸びていきます。これでは評価のつけようがありません。数学など、91点以上が100人近く、半分以上が81点以上を得点しています。80点代でも相対評価であれば評定3になります。実際は絶対評価ですから評定4がつくでしょう。つまり、全体の半分ちょっとが評定4をもらえるわけです。それが今の中学校の評価の付き方です。
でも、今のテストはこれで良いのです。絶対評価ですから。絶対評価は、それぞれの単元ごとに定められた目標を達成しているかをはかります。したがって、テストも達成目標ごとに作成されます。全員が満点をとってもかまわないし、満点をとれるようでなければ、指導者は指導法を見直さねばならないのです。そもそも得点をつける必要もないのです。項目ごとの達成度を○△×の3段階程度ではかっていけば良いのです。
このことを勘違いされている方がたくさんいらっしゃいます。学校の定期テストは、得点を気にするのではなく、単元ごとの目標をクリアしているか、を気にするのが本来の姿なのです。評価も、全員が評定5をとってもよく、そうすることが目標でもある、といっても良いでしょう。
問題なのは、こうした絶対評価なのに、高校入試の資料になってしまっていることです。高校入試は相対的な合否を判定します。相手よりも多い得点をとったものが合格する仕組みです。そもそも絶対評価とは相容れないものです。その矛盾に手を入れないままに学校成績が入試の資料とされてしまうのでおかしなことがおこります。
とにかく学校の成績と入試で合格を勝ち取るチカラとは全く別のものになっていること。このことをしっかりとお父さん、お母さんは理解しておくべきでしょう。学校の数学が評定5だといって、それは「単元ごとの目標をクリアした」といった意味でしかないのです。全体の上位何位以内にいる、といった意味ではないのです。
絶対評価とは何なのか。相対評価とはどこが違うのか。しっかりと理解しておきたいです。