みんなへ
こうした時に君たちに心がけて欲しいことがある。それは想像力をはたらかせることだ。想像力をはたらかすっていうのは、地震の被害がひどかったところに暮らしていた、自分と同じ年齢の男の子、女の子たちが、今、何をして、何を考えているだろうって思いをめぐらすことだ。
テレビじゃダメだ。テレビは「ウソではないけれど本当のことを映してはいない」。一人一人の「顔」は、一人一人の「心」は、テレビからは見えてこない。こういう時は、文字で伝えられていることから想像したほうが良い。たとえば、今日の新聞には「被災者の声」というページかあった。
山田町立大浦小4年山崎七星さん「津波や地震はとても怖かった。電気がなくて寒いけど、食べものなどの支援が佐賀県からも来て、ありがたいと思います。」
福島市黒岩、中学2年生丹治航君「自宅の地盤が危なくて避難するように言われました。父と母が『もうあの家には住めない』と言っています。原発も怖いし、心配。弟と妹を含め、今までと変わらない生活が送りたい。」
南三陸町志津川、県立志津川高校1年芳賀啓祐さん「高台にある学校から、自宅が津波に押し流されるのを見た。現実とは思えなかった。これからの生活も進路も心配。まず現実を受け入れることからはじめようと、友人たちと励まし合っている。」
みんな君たちと同じ学年の子供たちだ。避難場所では、小学生も中学生も、もちろん高校生も重要な戦力だという。行方不明の友達もいる中、朝から水くみやお年寄りの世話、炊き出しの準備の手伝い・・・ みんな一生懸命に働いているという。
中学校の卒業式の最中に地震にあい、柱がバキバキと音を立てて折れていく中、友達とみんなで抱き合って泣いたという女の子。その子は、今でも余震の度に目を覚ましてしまうという。それでも、避難所にいる小さな子たちの面倒を見ているのだそうだ。
お父さん、お母さんを亡くしてしまった子供も大勢いる。兄弟や姉妹が行方不明の生徒もいる。そんな中、避難所では生徒会を作って、図書の貸し出しをしたり、少しでも明るく過ごそうとすごろくを手作りで作ってゲームをしたりしているという。
そんな君たちと同じ年の「お友達」のことを想像して欲しい。一度も会ったことのない「お友達」だけど、みんなと同じ日本人だ。みんな君たちと同じ小学生であり、中学生であり、高校生なんだ。自分に何が出来るか、なんて難しいことはあとでいいから、今は、被災地にいる「仲間」のことを想像してみよう。すべてはそこからはじまるはずだ。
想像してみて欲しい。とにかく想像してみよう。