中学校の教科書改訂
文部科学省は30日、2012年度から使用される中学教科書の検定結果を発表した。昨年度検定の小学教科書に続き、「ゆとり教育」への反省から内容を充実させた新学習指導要領に基づいており、現行(06年度供給)と比べ、全体の平均ページ数は25%増え、数学は33%、理科では45%増えた。削減がピークだった00年度検定(02年度供給)との比較では理科で78%、数学で63%増で、「ゆとり」から完全に決別した。理科はイオンが復活、原子の周期表も必修になった。
教科書は4年おき改訂を繰り返します(最近は2年おきとなってきたようですが)。小学生はこの4月から教科書が大きく変わります。中学生も来春から変わることになっています。記事にもあるようにキーワードは「脱ゆとり」です。学ぶべき内容を削り続けてきたのですが、学力重視へ大きく舵を切ったことになります。教科書もそれに合わせてページ増になっています。
たとえば英語では、今までは900語だった単語数が、1200語に増えます。社会では、いくつかの地域だけを学習すればすんでいたのが、国内の各地の学習が復活します。国語も森鴎外などのしっかりとした日本語の文章が増えます。理科と数学については、教科書の増ページ数も多いことからわかるように、多くの単元で学習内容が復活することになります。
こうした流れは喜ばしいことなのですが、問題は、学校でこれだけ増えた内容を「やりきる」ことが出来るだろうか、ということです。実は、今回の改定からは教科書の扱いが変わっています。今までは教科書内容は「すべてやりきる」ものだったのですが、今度の改訂からは「すべてやる必要はない。発展的な内容もふくむ」という変化です。文科省のお役人も「増えましたが、すべてやらなければいけないわけではないので」と言っています。ということは、教える側の裁量が大きくなると言うことですね。
いずれにしても、週休2日制を維持した中で、これだけ学習内容を増やすわけです。学校現場の混乱は避けられそうにありません。先生方も大変でしょう。塾は大丈夫です。もともと授業の中では、「ゆとり」によって削除された内容も出来るだけ教えるようにしていました。miyajukuの生徒たちにとっては、塾の授業に教科書が追いついた、といった感覚のはずです。