どうして地理が不得意なのか
どうしてこうなるかというと、歴史の方が授業をやりやすいからだ。お母様方は、一度地理の教科書を開いてみていただきたい。昔と様変わりした教科書にびっくりされるはずだ。日本を九州から北海道まで、世界をそれぞれの地域別に学習していた大昔と違い、今の教科書はテーマ別で地理を学ぶようになっている。「資源や産業の特色を学ぼう」や「生活・文化の特色を学ぼう」といった具合だ。確かに理想的な教科書ではあるが、現場では教えにくいことこの上ないのだろう。面倒なので歴史ばかりに時間を割くことになっていく。
そもそも小学校では「ゆとり教育」の名の下に「都道府県名」さえも学んでこなかった生徒たちだ。中3になっても、しっかりと都道府県名が言えない生徒もたくさんいる。ましてや、世界の国と地域などわかるはずもない。特定の地域をちょっとつまみ食いして、あとはわけのわからぬテーマ別の学習。そもそも時間的にもしっかりと学ばせてもらっていない。これで良いはずもないのだが
お母様方は学校での授業の中身に対しては無関心な方が多い。よくわからない、という理由もあるし、当然しっかりと教えられているはずだ、といった考えを持っている方が多いからだろう。しかし、そうでもないことがこうして社会の授業を見ただけでもわかるだろう。
高校受験をする生徒は3人に1人ぐらいだから、地理が出来なくとも問題にならないのも確かだろう。2月以降は3人に2人は全く勉強をしなくなる。高校に進学しても、地理を学習することはほとんどない。世界のおもな地勢を理解しないまま大人になっていく子供がたくさんいるわけだ。グローバル社会の到来、などと言われているのに
きちんと地理の授業をして欲しい。同時に、中3生全員に、卒業認定試験のようなものを必ず課すような制度を作ったらどうだろうか。そうすれば、中学の先生も「教える」ということにもっと真剣に向き合うようになるのではないだろうか。もちろん、中学生も勉強するだろうし。とにかく、今のままの制度では、教える側も、学ぶ側も、真剣勝負にならないのが実情だ。