県立高校訪問 希望ヶ丘高校
相鉄線の希望ヶ丘駅から住宅街の中の坂を登っていくと5分ほどで森に囲まれた校地につきます。大きな木の間を抜け目と広大なグランドがあり、校舎が見えてきます。神奈川県で最も古い高校で、創立117年目をむかえる伝統校です。まずは校長先生から希望ヶ丘高校の現状についてお話しをうかがいました。以下、箇条書きです。
☆ 伝統校だが大学進学実績が伸び悩んでいるのはわかっている。どうしてそうなのかをしっかりと把握し、対処しばじめている。
☆ 生徒が教師の介入を拒むのは希望ヶ丘の伝統だ。たとえば、通学の様子が良くない、ということで教員に通学指導をさせようとした。すると生徒会の役員たちがやってきて「教員に通学指導などしてもらいたくない」という。それならどうするんだ、といったら、翌日に改善計画を文書にして持ってきた。そうした雰囲気がある。
☆ 卒業式も生徒たちが準備のイス出しから式進行まですべてやる。
☆ 先日の高校改革のフォーラムでもうちの生徒が発言をしたらしい。
制服もなく生徒が自由に学校生活を過ごしている、という希望ヶ丘のイメージは確かにその通りのようでした。そんな中、北村校長は「向学心に火をつける」というキャッチフレーズをかかげ、「希望未来塾」という取り組みをはじめられていました。
☆ 校長先生が生徒に部活動を一週間に1日だけ一斉に休む曜日をつくらないか、と提案した。
☆ 部活の部長が集まって協議したが「難しい」とのこと。朝にやってもらえないか、と生徒の方から提案があった。
☆ 教員の方にも教科ごとに朝の7時30分からの補講を提案し、学校の取り組みとして県教委のほうにも勤務時間の前倒しのお願いをした。
☆ 高3生の8割近い生徒が申込み9月から「希望未来塾」という大学入試を見据えた補講がスタートしている。
すごいですね。校長先生は「壊してから新しいものをつくるのではなく、そこにあるものを認めた上でそこから新しいものをつくっていく」といった方針で改革をされていました。希望ヶ丘の生徒は大学の先でトップがとれる生徒たちだと思う、という言葉が印象的でした。
そんな希望ヶ丘高校ですが、学校成績 : 入試得点 : 面接点 : 特色検査の割合が 3 : 5: 2 : 2 となっています。特色検査は「今まで生きてきた体験で出来る問題」を出題しているとのこと。いわゆるPISA型の問題です。また、論説では「意欲」を見るとのこと。要項にもあるように「部活動等に取り組む強い意欲と志」を持つ生徒に是非受験してほしいとのことでした。もちろん、中学での部活動の実績などは一切関係なく、希望ヶ丘高校でどうしたい、といったことが評価の対象になります。
生徒会とランチミーティングをしたり、教職員を連れて私立の進学校の授業を見学したりと、アクティブに活動されている校長先生でした。長いこと県教委にいられたとのこと。今しばらくは希望ヶ丘高校から目が離せませんね。