神奈川県公立高校入試問題 国語 2021年 傾向と分析
今日は2021年2月に実施された「神奈川県公立高校入試問題国語」の設問ごとの出題分析です。%は県教委発表の合格者の正答率です。
問1 漢字、語句、俳句
- 漢字の読みが4問(挨拶/99.6% 掌握/58.0% 惜別/38.7% 遂げる/83.6%)
- 同音異義語、同訓異字の漢字選択が4問(円柱と円滑/87.5%、登録と登頂/87.2%、規則と細則/74.3%、納めると納豆/91.2%)
- 「すでに」の「に」の識別 68.2%
- 俳句の鑑賞 49.1%
すべて2点の配点で ×10問 計20点
漢字の書きの問題はマークとなっています。こうした問題に慣れる演習を数多くしておきたいです。文法と俳句の問題については神経質にならないように。過去問を5年分と、予想問題演習を10回分ほどやっておけば対策としては十分です。とくに文法については品詞や活用形などを聞かれることはありません。
問2 古文の読解問題
教科書に載っているような古文の出題はありません。ほぼ初見の文章だと思っておきましょう。ただ、文法などの出題はなく、すべての問題が「内容理解」の問題になっています。誰が、いつ、なにをしたのか、といったストーリーが読みとれれば大丈夫です。登場人物は四角で囲い、時や場所を示す言葉には傍線を引き、何をしたかには波線を引く、といった読み取りをしましょう。2021年は「今昔物語集」からの出題でしたが、説話ものが出題されることが多いです。仏教説話は「仏を信じるものは救われる」というパターンのお話です。2021年もその流れでした。こちらも過去問を5年分と、予想問題演習を10回分ほどやっておけば対策としては十分です。
すべて4点の配点で ×4問 計16点
(ア) 69.6% (イ) 70.4% (ウ) 61.8% (エ) 79.3%
問3 小説文の読み取り問題
2021年の出題は吉川永春「憂き夜に花を」からの出題。4,500字ほどの長さがあるので、この程度の長さの文章をはやく読む練習は必要です。小説文はストーリーを理解する上で全文を読む必要があります。もちろん教科書で読んだような文章は絶対に出題されません。また、最初の四角の中の「ただし書き」はしっかりと読むこと。時代背景や何をあつかった小説なのかといった大事なカギが書かれている。
小問6題の内、心情を問う問題が4題、場面の様子を聞く問題が1題、全体の要旨を問う問題が1題。(イ)と(ウ)の正答率が低かったのですが、どちらも登場人物の言葉や所作から心情を問う問題。こうした問題にしっかり対応できる演習をしておきましょう。基本的には「誤っている部分」を選択肢の中に丁寧にさがすこと。たとえば「利益にしか興味がない」という選択肢があったとして、ストーリーの中で利益を度開始した決断をしているから違う、というようにしっかりと文章から導き出してくること。
すべて4点の配点で ×6問 計24点
(ア) 62.3% (イ) 55.5% (ウ) 59.3% (エ) 79.0% (オ) 77.2% (カ) 69.3%
問4 論説文の読み取り問題
2021年の出題は「吉見俊哉/知的創造の条件」から出題。やはり長い文章なので、小説文ともども「読むスピード」を高める演習は必要です。今までも「科学と非化学/2020年」「人工知能時代を“善く生きる”技術/2019年」「はじめての哲学的思考/2018年」「半市場経済/2017年」「自分らしさって何だろう/2016年」「読書の方法/2015年」と多岐なわたったテーマの文章が出題されている。論説文の読み取りは、そうしたテーマについての文章を読んで、どれだけ頭を「熱くした」かにかかっています。他府県の高校入試問題などもふくめてたくさんの読解演習をしておきましょう。2021年の出題も「書物とネット上の情報のちがい」というこうした入試ではよく出るテーマでした。
- (ア)は接続詞の問題
- (イ)~(キ)の6題は傍線部の内容を問う問題。
- (オ)だけが四者択一問題ではなく、本文中から語句を拾ってくる出題
- (ク)は全体の要旨を問う問題
(イ)の正答率が低かったが、設問が「筆者が紹介したものを選べ」であって、「筆者の主張を選べ」ではない点が難しかった。設問を自分勝手に読まず、何が聞かれているのかを丁寧に読むクセをつけておかないといけない。(ク)の正答率が低いのは全体の主張を読み取る問題だからだ。この問題に時間をとられてつぎの配点の大きな問5をやる時間をなくさないようにしたい。こうした文章は「対比的」にふたつのものを描くが、今回はそのどちらにも与していないことが読み取れていれば間違えなかったはずです。
(ア)が2点で他はすべて4点の配点で 計30点
(ア) 73.2% (イ) 47.3% (ウ) 70.5% (エ) 69.2% (オ) 63.8% (カ) 74.3% (キ) 65.6% (ク) 44.8%
問5 資料の読み取り問題
図表を使った資料の読み取り問題。正答率が(ア)が78.4%/4点、(イ)が19.6%/6点と極端に低かったです。ここで6点を落としてしまった生徒は多かったことでしょう。しかし、過去2年と比べると易しかったはずです。時間配分の失敗が大きかったのでしょう。とにかく細かい図表の読み取りが必要なので、国語の問題ととらえないことが大切です。
同時に、どこでこの問5の問題を解くかはしっかりとシミレーションしておきましょう。たとえば、問1をやった後にすぐ問5にとりかかる、というのもありでしょう。さらにいうと、(ア)を適当に選んで、あとはまったくやらない、という手立てもあり得ます。こんなところに時間をかけるよりも問3や問4をしっかりやろう、という作戦です。
対策としては、過去5年の問題を時間をはかってやり、予想模試の問題にも取り組みことです。この問題に10分をかけると他の問題をやるのが窮屈になります。7分~8分を目安にしましょう。