県立横浜翠嵐高校訪問記

10月23日に神奈川県私塾協同組合の高校訪問で「県立横浜翠嵐高校」を訪ねてきました。副校長先生の長濵徳克先生に対応していただきました。お忙しい中をありがとうございます。

さて、「県立横浜翠嵐高校」の基本情報です。

所在地 〒221-0854 神奈川県横浜市神奈川区三ツ沢南町1-1。  

  • 横浜駅西口から徒歩約20分
  • 横浜市営地下鉄ブルーライン「三ツ沢下町」駅から徒歩約12分
  • 東急東横線「反町」駅から徒歩約18分

特長

*学力進学重点校

*95分授業をベース(45分・50分授業も併用)、少人数・習熟度別授(英・数の一部)、土曜・長期休業講習、自習室・質問対応など学習支援が充実

*大学合格実績

  • 国公立等:東京74、京都11、大阪7、名古屋1、北海道10、東北12、九州2、一橋10、東京科学11、横国36、都立大1、横市5 ほか
  • 私立:早稲田233、慶應177、上智60、理科大180、明治214、青学44、立教29、中央53、法政45ほか

学校案内のパンフ

さて、ここからは当日の様子です。基本的にわたしたちから事前にお送りした質問に対してお答えいただきました。

「総合型・学校推薦型選抜」など大学入試に向けての学校の方針

  • 東大を含む「総合型選抜」拡大の流れは認識。実績も(今年1名、約10年前にも1名)。
  • ただし学校の基本軸は従来どおり「一般選抜」対策で大きな変更予定なし。

他校にはない学校の強み

  • この10年で「進路実現を組織で支える体制」を構築。全教職員で方針共有し、データに基づく学年ごとに進路指導会議を実施し、管理職、担任、副担任、学年教科担当者が会して、その学年の学力分析や個別の生徒への支援の方向性等を共有。
  • 4月に新任者含めた進路方針研修を実施。模試結果の分析→学年・全体へ共有、声かけ対象生徒のピックアップなどを仕組み化。
  • 2年生の12月に「第一志望宣言」を全員提出(保護者コメント含む)し、動機付けを強化。
  • 「生徒の心に火をつける」「いちばん出来る生徒をあきさせない授業を」が教師の合い言葉

今後の課題

  • 公立校ゆえの人事異動で「ノウハウ継承」が難題。更新し続けられる人材育成が必要。
  • 宿題・小テストは量も質も高水準だが、教科横断の分量調整・消化度の可視化は一律管理が難しい。

授業、日常の学習について

  • 進度は速い。数学は理系で数IIICを高2終盤までに概ね学習、必要に応じて前倒し導入。
  • 学び合い・個別フォロー・放課後の質問対応で下支え。授業には出ているが苦しい層へのピンポイント支援も実施。
  • 文系志望でも理系教科を、理系志望でも文系教科をきちんと履修させ、共通テストでの幅広い得点力を重んじる。

探究活動・行事について

  • 3年間の探究(テーマ設定→調査→論文・発表)。
  • 行事は授業時数確保・働き方改革の観点で精選。翠嵐—平沼の交流戦は周年事業として2年限定で復活、恒常化は想定せず。修学旅行は当面沖縄(費用面で海外は困難)。

進学重点校として、また他の指定について

  • 進学重点校指定等に伴う教職員定数が数名程度増員される支援があるが、教科ごとに配置している教員数や授業の担当方法などの教科指導上の理由から、すべての教員が授業担当時間を軽減できているわけではない。
  • 文科省「DXハイスクール」指定。レーザーカッターや3Dプリンタ等のICT機器を整備し、授業・部活動で活用。

翠嵐高校の生徒像

  • 入学時の学力・自負が高い一方、高校入学後の成績が伸び悩む生徒に対する個別のケアにはしっかり対応している。高3は特に「最後まで下げずに挑む」支援を重視。
  • 通学エリアは横浜市内約58%、その他42%と広域。

翠嵐高校のこれから

  • 今までも、これからも何も変わらない。
  • 「真のトップリーダーの育成」を目指していく。

こんな生徒に入学して欲しい


高い目標を掲げ、勉強・部活・行事のバランスを取りつつ継続する姿勢。入学当初から、学びの「自立・自走」を推奨し、家庭等での主体的な学習時間の確保を目指す取り組みを重点化。学校の授業だけでなく、学校行事や部活動にも精一杯頑張ろうとすることに前向きな生徒を歓迎。

以下、訪問してのわたしの感想です。

横浜翠嵐高校の強みは【「授業」を大事にしている】とにかくその1点につきるような気がします。

クラスでいちばん出来る子を飽きさせないような授業を、という言葉がとても印象的でした。全県から集まってきた優秀な生徒たち。しかも、100人以上が旧帝大に合格していくレベルの中で、いちばん出来る子のレベルは相当高いです。

その子を飽きさせない授業をやるとなると、先生の方もかなりの授業力と授業準備が必要になってくるはずです。そんな授業が毎日のようにおこなわれていて、その中で鍛えられていった生徒たちが結果を出していく。そんなイメージをいだきました。

もちろん、そうしたレベルの高い授業についていくためには、生徒の方も相当な予習をして授業にのぞまないとだめでしょう。たぶん、学校の授業を柱としてよい循環の学習スタイルが形成されていくのだと思います。

もうひとつ。

学校全体で生徒の進路を後押ししていく仕組みとエネルギーを感じられました。どちらかというと今の学校は「ひとりひとりの生徒の進路」にアドバイスはしても一歩ひいた進路指導になりがちです。横浜翠嵐高校は「進路集会」という名の学年集会を定期的に開催し、1コマすべてを進路指導に特化した話題について、生徒と共有し、生徒のモチベーションの維持を図ります。まさに「受験は団体戦」、みんなでやっていくぞぉ、といった学校としての勢いがあるのだと思わされました。

さらに「第一志望宣言」をはじめとした大学入試に向けてのモチベーションアップ、維持の後押しの仕組みもすごいです。この「第一志望宣言」は、だだ「○○大学に合格」ではなく、どうしてその大学なのか、そこで何をしたいのかなどもしっかりと生徒は考えて書き、保護者のコメントもあるのだと言います。いいでねぇ。

ある意味では時代に逆行しているのかもしれませんが、だからこそ、それがこれだけの結果を生んでいるのではないでしょうか。

いずれにしても県内屈指の進学校です。毎年2倍前後の倍率がでる高校入試になります。覚悟を持って挑戦していくことになる学校です。と同時に、そうした挑戦の意味がある学校だということです。

最後に、校務に忙しい中、お時間をとっていただいた長濵副校長先生に、この場を借りて感謝申し上げます。

#横浜翠嵐高校 #神奈川県公立高校 #高校情報 #進学重点校 #高校入試

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