どうして人間は時間をはかるの?

今回の読書作文コンクールで小学生の部の最優秀賞に選んでいただいたのが当教室の小学5年生でした。小学生の部は400字の作文だったので全文を以下に載せたいと思います。

「どうして人間は時間をはかるの?」 

どうして人間は「時間」をはかるのか不思議に思いました。

時間をはかることができない動物も、くまは冬になると冬眠するし、桜の木は春になったら必ず花を咲かせます。人間も朝になったら起きるし、夜になれば寝ます。

でも、人間は1時間や1分のように数字で時間をはかろうとします。

木のかげの動きを見ていれば時間が決まった速さで進んでいくのが分かります。また、星の動きや月の満ち欠けを見れば、時間が年月の単位で動いていくことにも気づきます。人間はそこから時間をくぎってはかることにしたのです。

はかることでなにをしようとしているのでしょうか? 

人間が作ったのは時間ではなく、時間をわかりやすくするための時計やカレンダーなどの「もの」だったんじゃないでしょうか。

人間が時計やカレンダーなどのはかった「時間」をつくらなくとも、動物や植物たちの感じている時間はもともとあったといえます。

入不二教授の講評 「時間を生きる」ことに「単位」「区切り」が際割って初めて「時間をはかる」ことが成り立つという考察と、「はかられる時間」以前の時間へともう一度戻る形で終わる展開が短い文章の中でも感じられて、いい書き方だなと思いました。

今回は入不二教授の「哲学者って何をする人なの?」という文章を読んで、自分なりの哲学の問いを立てて考えてみよう、という課題でした。彼女は「どうして人間は時間をはかるの?」という問いを立て、結局は人間は時間をわかりやすくするための時計やカレンダーなどの「もの」をつくっただけで、そんなものがなくても時間はもともとあった、と考えをいたらせました。

彼女の言うところの「はかった時間」と「もともとあった時間」ってなんなのでしょう。

時間というものは昔から哲学者や科学者が考え続けてきた命題です。太古の昔、太陽や星の動きそのものだった時間が、中世にガリレオが「ふりこ時計」を発明することで、人間は「自らの時間」を手に入れるわけです。それこそ「はかった時間」です。

さらにニュートンは「絶対時間」を提唱し、リンゴの落下から宇宙の時間までをはかるようになります。近代になってアインシュタインは「相対性理論」を提唱し、現代では「ビッグバン」の研究が進んでいます。宇宙はつながりのなかにあるのではなく、無から誕生して「はじまり」があるというのです。

そんな人間と時間との関係の歴史が、この小学生の文章から読みとれます。ひとりの小学5年生の女の子の頭の中で、人と時間という命題が渦を巻いていたということでしょう。このきっかけをだいじにしてもらい、人と時間についての思考を続けていける大人になっていって欲しいです。