2025年大学入試で社会(歴史)はどう変わるのか
来春の大学入試は新課程になって初めてのものになります。共通テストも大きく変わりますが、私立大学の入試も変わる部分がすくつかあります。そんな中で今日は社会(歴史)の話しです。まず、新指導要領で社会(歴史)がどのように変わったかです。
歴史総合が必修となる
「歴史総合」は「近代化」「大衆化」「グローバル化」という大きな社会変化がどの時期にどの地域に起こり、どんな社会変化をもたらしたのかを学びます。主に18世紀以降の世界史、日本史を現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を学びます。
社会ではほかに「地理総合」と「公共」も必修科目となりましたが、今日は歴史についてのみ話しを進めていきます。
「歴史総合」を学んだ後で、「日本史探究」と「世界史探求」を選択していくことになります。こちらは、従来の「日本史B」と「世界史B」と同じ内容ととらえて良いでしょう。
大学入試共通テスト
「大学入試共通テスト」での歴史科目ですが、基本的に「歴史総合+日本史探究」「歴史総合+世界史探求」という出題になります。大問6問中の1問が歴史総合からで残りが探求からの出題です。問題数で言うと34問中の9問、得点で言うと100点中25点が歴史総合からの出題になります。
歴史総合は近現代史の歴史を世界史、日本史問わずに学ぶ教科です。ですから、日本史選択でも世界史、世界史選択でも日本史の範囲を学習しなければならないのです。また、最近の共通テストの出題傾向として、ただ覚えただけの知識ではなくて、流れと枠組みの中で理解した知識がまとまって出題されます。資料や図版、グラフなどから読み取った情報の読解力も含めてしっかりと対策をしなくてはいけません。
私立大学入試の社会(歴史)の扱い
私立大学の2025年入試での社会(歴史)の扱いは大学によって違います。歴史総合を「日本史探究」や「世界史探求」に含める大学と含めない大学があります。
歴史総合の範囲を含める大学
学習院、慶応、駒澤、上智、専修、中央、日大、明治、立教
歴史総合を範囲に含めない大学
早稲田、青山
法政は歴史総合の範囲を含めるが「旧課程の受験者に配慮した出題をする」とアナウンスしています。また、同じ大学でも中央の法は探求のみなど学部によってもっているので各大学のホームページなどで情報は確認してください。
私大文系受験者の注意点
例えば、早稲田を第1希望にしておさえを明治大学にする受験者は今までたくさんいました。しかし、来春入試では、早稲田は歴史総合を範囲に含めず、明治は含めることになります。早稲田の法学部の受験生の7〜8割は明治の法学部をおさえに受験してきています。それは「社会が難しい早稲田」にあわせて学習するために明治が受験しやすかったからです。逆に英語が難しい慶応大学の法学部の受験者はおさえに上智を受験してきたわけです。来春入試ではこうした「早稲田-明治」の受験パターンが崩れるかもしれません。
どんな出題になるかはふたをあけてみないとわかりません。ただ、過去問がまったくないのですから、志望校が「歴史総合」を出題範囲に含めていたとしたら、日本史選択者でも近現代の世界史、世界史選択者でも近現代の日本史はしっかりと学んでおかねばなりません。その負担がいやなら、「早稲田-青山学院」パターンの受験にしていくしかないわけです。
いずれにしても、新課程初年度の来春大学入試は、刻一刻と情報が変化していく可能性があります。正しい情報をしっかりと集め、ムダ、ムリのない学習プランを立てていくようにしましょう。