数学の問題から見えること

今回の春期講習では、高1生の数学も私が授業をおこなった。「整式の計算」「因数分解」「実数」「不等式」と学習した。深く学んだり、定着が目的ではなく、高校数学がどんなものかをわかってもらうことが目的だった。良い感じで授業は進んだが、やっぱり次のような問題になると鉛筆が止まってしまう。

問 方程式 2|x|+|x-3|=9 について、x<0,0≦x<3,3≦x の3つの場合に分けて解を調べ、方程式を解きなさい。

答 絶対値記号の中が正の数の場合と負の数の場合の絶対値記号の外し方を学習したあとの問題だ。x<0ならば、|x|=-x,|x-3|=-(x-3)となるので、-2x-(x-3)=9よりx=-2となり、0≦x<3ならば、|x|=x,|x-3|=-(x-3)となるので、2x-(x-3)=9よりx=-6となり、3≦xならば、|x|=x,|x-3|=x-3となるので、2x+x-3=9よりx=-4となる。ただし、x=-6は0≦x<3の範囲に入っていないので不適となり、解はx=-2またはx=4となる。

こうした場合分けの考え方は、多くの子供達が不得手とする部分だ。それ以上に、絶対値記号の外し方を学習した直後にかかわらず、この方程式の絶対値記号を外そう、という発想に結びつかない方が問題だ。

中3の授業でも同じようなことがあった。

問 √2=1.414,√20=4.472として、√18,√80の値を求めよ。 

答 √18=√2×√9=1414×3=4,242 √80=√20×√4=4,472×2=8.944

√2と√20の値がわかっているのだから、何とかそれを利用してみようという発想がない。鉛筆が止まってしまう生徒がほとんどだった。

与えられたことはきちんと出来るが、自ら工夫して柔軟に問題に対していくことはなかなか出来ない。一方向からしか問題をとらえないからちょっと問題の志向が変わってしまうととたんに鉛筆が止まってしまう。数学の学習は国語にも理科にも社会にもつながっている。その逆も言える。

「いいかい、みんな。このままだと、ベルトコンベヤーを流れてくる部品の組み立てみたいな仕事しか出来ない人間になっちゃうぞ。創造力を働かせて何かを作り出していくような仕事につくための能力は、こうした数学の問題を解く中で養われるんだ。うそじゃないよ。数学の学習は数学の学習だけで終わるわけじゃないんだ。君たちの生き方そのものにもつながってるんだよ。」

中3ぐらいからは、いろんな方向から問題に光を当てられるような頭のはたらきを身につける努力をさせていきたい。とにかく『頭を柔らかくさせていきたい』。あまりに堅すぎるぞ!

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