理科のどこがそんなに難しくなったのか

入試問題の理科の難易度が上がった、といったことを一昨日の記事で書きました。それでは何が難しくなったのか、具体的な問題に踏み込んで書いてみたいと思います。

理科問題

これは正答率が3.7%だった問題です。一昨年までの問題であれば、正答率が一桁というのはありえませんでした。さて、何が難しいのかみなさんにはおわかりになりますか?

というよりも、一昨年までの問題との大きな違いがふたつあります。それがこれほどの難易度アップにつながっているのです。

ひとつは 絵や図がないこと です。今までであれば、こうした問題には必ず実験のイラストが付属していました。ある意味ではイラストさえ見れば問題文は読まなくとも質問の中身がわかるようになっていました。絵がなくなってしまったことによって、問題文を読み取り、そこから実験の内容を自分なりに図や表にして整理する必要が出てきたのです。これによって難易度がグンと上がっています。

ふつために 具体的な金属の名前が使われていない ことです。この問題は化学電池の極にする金属の問題です。もしも問題文の中に、銅、鉄、亜鉛、アルミニウム、などと具体的な金属の名前があげられていれば普通の問題だったのです。それが、金属A、B、Cなどと抽象的な記号で示され、実験の結果からそれぞれの金属板がどんな性質なのかを類推する手間が必要になっています。しかも、最後まで具体的な名前は問われません。

たったこれだけのことで正答率は3.7%になってしまったのです。

問題の難易度が上がった、というよりも、与えられる情報が減った、と同時に、情報を処理する能力が大きく求められるようになった、ということです。これは理科に限らず、他の教科すべてにもいえることで、例えば、数学の確率の問題からも図や例がなくなっています。問題そのものは一昨年とほぼ同じなのに、図がなくなっただけで正答率はグンと落ちてしまいました。

来春の入試に向けてどんなチカラをつけていく必要があるのか、その鍵は見えてきましたね。

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