神奈川県公立高校入試出題の傾向と難易度 2021年入試
神奈川県の公立高校入試が終わりました。当教室から公立高校を受験した生徒は9名。その平均点は以下の通りでした。
英語/79.6点 国語/85.1点 数学/74.4点 理科/62.5点 社会/94点 5科計/392点
かなり高いです。ほとんどの生徒が模試や予想問題演習をやってきた中で自己最高得点を出しました。もちろん生徒たちの努力の成果ですが、問題の難易度が易しかったというのも事実です。とはいっても、そのことがすぐに合否ボーダーのアップにつながるということではありません。上位校、中堅校、下位校によっても違ってきます。合否ボーダーの予想についてはもう少し情報を集めてからお話しすることにします。
今回は教科ごとの出題傾向についてお話しします。
英語 配点も出題形式も昨年とほとんど変化はありませんでした。最近の出題の中心になっている「図表を多用した英語の長文読解」がメインです。並べ替えや空所補充などの文法問題も28点分出題。英作文は「How many +複数形」と易しいものでした。全体としての難易度は昨年とほぼ変わらずとみて良いでしょう。ただ、英語は上位校と下位校では最も得点差が開く教科です。上位校では90点以上が当たり前なので、全体の平均点よりも受験校の平均点を気にしたいです。
国語 国語も配点、出題形式ともに昨年とほとんど同じものでした。小説文についてはわたしが予想していたように「古い形式」の文章からの出題でしたが、会話文も多くそれほど読みづらさはなかったはずです。何よりも「選択肢がわかりやすい」というのが神奈川県の高校入試問題の特長です。問5の記述問題も求められているものが明確なのでしっかりと準備が出来ていた生徒には問題はなかったはずです。こちらも昨年度と難易度は変わらなかったと見て良いでしょう。
数学 相似や三平方の定理などの出題が減り、今まではあまり出題のなかった合同の証明、割合を使った連立方程式、折れ線グラフなどを使った思考力を問う問題が出題されました。とはいってもそれぼと難しいものではなく、近年の数学は「出題傾向が年度によってかなり変化する」ということを想定して準備していた生徒には問題はなかったはずです。いつもの年のように空間図形の(ウ)の難易度はかなり高かった。数学は「難しかった」と「そうでもなかった」という生徒がふたつに別れる教科です。それでも、ほぼ昨年度と同じか少し難しかったという所だと思います。
理科 理科も大問構成も出題形式もほぼ昨年と同じでた。物理分野、化学分野、生物分野、地学分野からまんべんなく出題されています。図表を使った出題も多く、文字の圧迫度合いもいつも通り。ただ、受験生がこうした「神奈川の理科」に慣れてきたのでそれほど「難しい」とは感じなかったはずです。とはいっても、理科が不得手な生徒にとっては20点~30点しか得点出来なかった、ということになります。したがって全体の平均的な難易度をいってもしょうがないのですが、ほぼ昨年度と同じか少し難しかったという所だと思います。
社会 どうした社会(゜ロ゜) というぐらいに易化しました。問題の作成者は「ここまでみんな出来てしまったのか」と驚くことになるでしょう。この社会の問題を作った先生は猛省をうながしたいです。これだけ1教科が易しいと「社会を失敗した=不合格」ということになり、適正な入試になりません。相当にレベルの低い先生によって作題されたと断じておきます。図表を多用したり、複数の知識を合わせて解答する、という出題形式はいつも通り。とにかくどこまで平均点が高くなるかわかりません。社会の得点分だけ合否ラインが上がる、というのが今年の入試の特長になるでしょう。
生徒たちには「とにかく社会。社会が合否のカギ。試験の前日まで社会は伸びる」と言い続けていたので、当教室の生徒たちは「ほぼ100点に近い得点」を全員がとってくれました。ほっと胸をなで下ろしています。ただ、社会で失敗してしまった生徒がいたとすると、と思うと複雑です。「社会の易化」が2021年の神奈川県公立高校入試のすべてになってしまいました。