神奈川県の高校
さて、こんなニュースが入ってきた。
神奈川県教育委員会は28日、県立神田高校(平塚市)で2004、05、07年度に行われた入学試験で、内申書、学力試験、面接の総合的な成績順位は合格圏内に入っていたのに、願書受け付け時の服装、態度などが悪く入学後の生徒指導が困難と判断した受験者22人を、選考基準に従わず不合格にしていたと発表した。県教委は、受験者、保護者の希望があれば入学させることも検討する。記者会見で渕野辰雄校長は、「先生方の生徒指導の負担軽減とまじめな子をとっていきたいという思いだけだった。大変申し訳なく思っている」と陳謝した。
前にも、合格発表の時に喫煙が見つかった生徒を不合格にして問題になったことがある。もちろん合格させるべきだという観点からの報道だった。何があったかは記事から詳細はわからないが、きっと似たようなことがあったのだろう。校長の「先生方の生徒指導の負担軽減のため」という言葉には重みがある。それほど「入学後に指導が困難になりそうだ」という態度があったのだろう。
今の高校の置かれている状況を知ることの出来る記事だ。論評はなかったが、「落とした学校が悪い」という内容の記事であったことは確かだ。学力があれば問題行動をとる可能性がある生徒でも合格させなければならない、といった制度そのものがおかしいのであって、この校長の判断は「英断」と言えるのではないだろうか。
神奈川県では入学試験なしの県立高校を来春3校作る。学力よりも学ぶ意欲を重視したいということだ。1クラスを30人として授業も1時間を25分にするなどの工夫をするという。とくに社会参加やキャリア教育に力をいれていくらしい。そうした改革もおこなわれはじめてはいるが、多くの高校は旧態依然とした「横並び」のカリキュラムでしかない。
後期高等教育をどうとらえるか。学習塾に通ってきて、上位の高校を目指していく生徒たちだけが中学生ではない。完全に二極化した中で、通信制に行かざる得ない中3生も激増している。世界史や数学を学ぶよりも、より実践的に世の中で役に立つ学習をしたい子供たちも多くいる。
医療制度もだが、教育制度も根本的なシステム変更が求められている。