絶対評価

画像は当教室に多くの生徒が通っているT中学の今回の定期試験の得点分布だ。90点以上が全体の1/3の100人近くになっている。

私はこの分布図を見る度に考える。今さらながら学校の成績は「絶対評価」ということが前提になってつけられているのだ、ということだ。そもそもこんな分布図になる試験で相対評価をつけようがない。素人でもわかることだが、テストというのは、中央値付近に多くの生徒が集まり、上下に裾野が開いていく分布図になってはじめて相対評価がつけられる。こんなふうに得点が上に行くに従って人数が増えていく分布図のテストで、中央値や平均点や偏差値というのは何の意味も持たない。

今の中学の定期試験は、ある一定の到達度をはかるためのモノなのだ。本来ならば、その得点そのものを評価にすべきモノで、5や4や3という数値化することに意味がない。あえて数値化するならば、90点以上は5にすべきなのだ。それなのに5は20パーセント前後がのぞましい、などといった県教委の通達によって5の人数が制限される。なおかつ、その通達には従う義務もないので、学校によっては全校の半数に5がついたり、1割にしかつかなかったりというおかしなことがおこってしまう。今回のテストで90点をとっても3がつくことだってあり得る。

こうした中、自制もこめていうのだが(他塾への批判ではありませんよ)、塾での指導も考えるべきだ。学校のテストの成績を上げることに力をかけることにどれだけの意味があるのかということだ。少なくとも、90点以上の成績を取っている生徒にとっては、あと数点をとることに血道を上げる必要はない。きちんとした実力をつけて、高校入試に挑戦していけばよいことなのだ。逆に、学校のテストで90点以上をとっていても、本当に実力があるのか、というとそうでもないことがあるということだ。

学校のテストを見て、「もう少し難しい問題を作ってください」なんていってもムダなんだ。
あくまで、学校の定期テストは確認テストでしかない。入学試験の問題とは全く性質を異にしている、ということを理解すべきだ。高校入試に対しても、その後の高校での学習に対しても、さらにその先に待っている学習に対しても、今の学校のテストの成績を伸ばすことは何の連関も持たない。

おかしいのは、こうし成績を高校入試の材料のひとつにしていること。とにかく、学校の成績を高校入試で一切つかわない制度にして欲しい。そもそも絶対評価なのだ。選抜をともなう高校入試につかうことがおかしいのだから。

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