県立高校の置かれている現実

神奈川県の県立高校のトップは「横浜翠嵐高校」と「湘南高校」の2校だ。とくに「横浜翠嵐高校」のここ数年間の伸びはすごいものがある。今春の東大合格者数14人は、湘南の8名を圧倒している。が、そんな翠嵐高校の今春入試を振り返ってみるとある事実に気づかされる。

翠嵐高校の後期選抜入試の募集定員は194名。志願者は545名。志願倍率は2.81倍となった。が、受験者は392名。なんと欠席者が153名もいたことになる。したがって合格者倍率は1.81倍と下がっている。これが神奈川県の県立トップ校の置かれた現実なのだ。

153名もの当日欠席者はどんな進路を選択したのだろうか。学芸大附、慶応日吉、早稲田系附、などに合格することで、当日欠席をしたものと思われる。しかも、昨秋以来の世界同時不況で、慶応や早稲田系の付属高校への志願者が大幅に減っている。いつもの年よりも難易度が下がり、たくさんの合格者が出たことも欠席者増につながったはずだ。

東大の合格者だけを抜き出しても、浅野/25名、栄光/58名、聖光/49名、桐蔭/12名、横浜雙葉/11名と県内の私学の実績は県立高校を圧倒している。学力面だけから考えると、県立のトップ校である「横浜翠嵐高校」でさえ、早慶の付属高校の併願校にすぎない扱いを受けている。青山学院の高等部あたりでも、翠嵐を蹴っている生徒がいるのではないだろうか。

これが県立高校の置かれた現実だ。

県内トップ校でさえこんな状況なので、地域のトップ校や準トップ校の進学実績など本当にたいしたことはない。大和高校でさえ、今春は早稲田に8名、慶応に1名しか進学できていない。複数合格を差し引くと、現役で2名から3名がこのレベルに到達できた、ということだろう。

中学生はこの現実をしっかりと受け止めて欲しい。お父さん、お母さんにもしっかりとわかっておいて欲しい。県立高校の中堅クラス、たとえば、大和西高校あたりに進学する実力では「日東駒専」レベルの大学進学さえ難しい、という現実を。ましてや、それ以下では、ほとんどまともな大学進学はのぞめないのが実際だ。

もちろん、高校生活は大学進学のためだけにあるわけではない。でも、中学までにさぼってきた“つけ”〈公立中学にいるかぎりはほぼ全員が『さぼっている』ことになります〉をとりもどすには、高校3年間をストイックに学習だけにかける必要があることをわかっておいてください。

そのぐらい、私立の進学校に進んだ子供たちとの“差”は大きいのです。大学入試は全国区の戦いです。

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