「内申」と「偏差値」は、同じものさしではありません

湘ゼミ、1都3県間&神奈川県内各市の内申格差を紹介
高校入試の相談を受けていると、保護者の方からよくこんな声を聞きます。
「模試の偏差値は悪くないのに、内申が思ったより取れません」
「学校の成績が低いということは、やはり学力が足りないのでしょうか」
この不安は、とてもよくわかります。
神奈川県の公立高校入試では、内申が大きな意味を持ちます。私立高校の推薦や併願を考える場合にも、内申基準が関係してきます。
だからこそ、保護者にとって内申はとても気になる数字です。
ただ、ここで一つ大切なことがあります。
内申が低い=学力が低い、とは限りません。
なぜなら、内申と偏差値は、そもそも見ているものが違うからです。
内申は「学校の評価」、偏差値は「模試の中での位置」
現在の中学校の成績は、基本的に絶対評価です。
絶対評価とは、学校が決めた評価基準に対して、その生徒がどの程度到達しているかを見る評価です。
定期テストの点数だけでなく、提出物、授業中の取り組み、小テスト、ノート、ワーク、発表、振り返りシートなども評価に関わります。
一方、偏差値は相対評価です。
模試を受けた集団の中で、自分がどの位置にいるかを示す数字です。
つまり、
内申は、学校の評価基準に対する到達度。
偏差値は、受験生集団の中での位置。
この2つは、似ているようで別のものです。
偏差値が高くても、内申が低いことはある
たとえば、模試では点が取れる生徒でも、学校の成績が思うようにつかないことがあります。
定期テストの出題傾向に合わなかった。
提出物の評価が低かった。
観点別評価の一部で評価を落とした。
授業中の活動や課題への取り組みが十分に伝わっていなかった。
こうしたことがあると、模試の偏差値は高くても、内申が伸びにくいことがあります。
逆に、模試の偏差値はそこまで高くなくても、定期テスト対策を丁寧に行い、提出物や授業への取り組みを積み重ねることで、内申が高くなる生徒もいます。
ですから、
「偏差値が高いのに内申が低い」
「内申は高いのに模試では点が取れない」
ということは、十分に起こります。
これは、子どもが努力していないからとは限りません。
評価のものさしが違うからです。
内申格差はある。でも、単純比較は難しい
最近、首都圏の「内申格差」についての記事も話題になっています。
地域や学校によって、内申のつき方に差があるのではないか。
同じくらいの学力でも、学校によって「5」の取りやすさが違うのではないか。
こうした問題意識は、とても大切です。
実際、絶対評価でつけられた学校成績を高校入試の資料として使うことには、制度上の難しさがあります。
ただし、ここでも注意が必要です。
偏差値は相対評価。
内申は絶対評価。
この2つを単純に比べて、
「この偏差値なら、この内申がつくはず」
と考えるのは危険です。
内申格差の問題は考えるべきです。
しかし同時に、内申と偏差値は同じものさしではない、という前提も忘れてはいけません。
保護者が見るべきなのは、内申だけではない
もちろん、内申は大切です。
内申を上げるためには、学校の定期テスト、提出物、授業への取り組みをきちんと整える必要があります。
ただし、内申だけで子どもの力を判断してはいけません。
内申が低いからといって、入試で戦えないとは限りません。
内申が高いからといって、入試本番で安心とも限りません。
大切なのは、
学校の成績を見る目と、
入試で必要な学力を見る目を、
分けて持つことです。
学校の成績には、学校生活の中で評価される力が表れます。
一方、入試では、初めて見る問題を読み取り、考え、時間内に解く力が問われます。
この2つは重なる部分もありますが、まったく同じではありません。
まとめ
「内申が低い=学力が低い」
そう決めつけてしまうと、子どもの力を見誤ります。
内申は大切です。
でも、内申は学力そのものではありません。
偏差値も大切です。
でも、偏差値だけで学校での取り組みを判断することもできません。
内申は絶対評価。
偏差値は相対評価。
まずは、この違いを保護者が理解することが大切です。
そのうえで、内申を上げるための努力と、入試で点を取るための学力づくりを、分けて考える。
それが、高校入試に向けて子どもを正しく支える第一歩だと思います。
内申が低いからといって、子どもの力がないわけではありません。
大切なのは、その数字の意味を正しく見ることです。