今後の高校教育のあり方に関するヒアリング

国レベルで今後の高校教育について考えるための「今後の高校教育のあり方に関するヒアリング」というのが文科省でおこなわれているらしい。鈴木副大臣は「高校教育を取り巻く事情は大きく変化しているのに、制度がついていけていない。放置できない状況」と語ったといいます。

注目すべきは、現行の普通高校と専門学校(工業、農業、商業など)の2本立てという、現行の高校制度の枠組みそのものに手が入れられるかもしれない、という点です。今や、高校進学率が98パーセントになり、その3/4が普通高校に進学しています。そんな中、「高校生の大半を擁している普通科が、若者を仕事の世界に向けて備えさせる機能を全く果たしていない」のが実際です。

「何のために高校で学んでいるのか自覚できていない高校生が大量にいる」ことも問題です。「かつてはそうした高校生も内包できる活力が日本にあった。しかし長引く不況の中、企業は即戦力の人材を求め、これといったスキルも目標もない若者を受け入れて鍛える余裕をなくしている」のです。

そこで考えられているのが、普通科の高校の中に仕事に具体的につながる専門教育を取り入れる、ということです。「各種の国家資格や公務員系の資格を所得すること。IT系や福祉・介護関連、会計や接客関連のスキル、中国語などの語学力」を普通科でも学んではどうか、という提言がされているようです。

ここ数年の高校改革で、普通科以外の専門科についてはかなりの改変がおこなわれた。総合学科の設置などもそのひとつだ。ただ、普通科については大きな改変はおこなわれていない。というよりも、普通科というのは大学進学を前提のカリキュラムになっている。確かに大学進学率が首都圏では6割をこえている。

だが、一方で「高校の普通科が仕事の世界との結びつきの役割」を全く果たしていないのも実際だ。学校の世界と実際の世の中の乖離は進む一方だ。「メシが食えるオトナ」を育てられていない現在の日本の高校教育。確かに根本的にメスを入れるときなのかもしれない。

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