告白
映画も大ヒット中だという。15禁になっているので中学生は観ることが出来ない。映画も観た娘によると「原作よりもすごかった」とのこと。血がたくさん出て、狂気が画面を支配し、エンドロールの際には客席全体を異様な空気が支配していたという。「ある意味、原作よりも悲惨かもしれない。一人では観に行かない方がいいね」ということだが、妻と二人で観に行く勇気がうまれるかどうか。怖いモノ見たさを越えたところにあるようだ。
物語そのものは稚拙だし、重苦しい内容の割にはストーリー展開は軽い。いろんな面で荒さはある。それでも作品に引きこまれてしまう。それは、今の時代の中ではこうしたことが実際に起こってもおかしくない、といったリアリティがあるからだ。同時に、作中の中学生を「こんな子はいないよ」と言い切れない何かもあるからだ。それどころか、どんな中学生にもこの作中の子供たちと同じような「心の動き」は十分にありうる。
しかし、この作品を読んだ後の「救いのなさ」は何だろうか。本を読んだ後、または映画を観た後、「こんなことはフィクションであって欲しい」と誰もが思いつつ、「でも、現実に起こる可能性もある」という現実世界の陰の部分を見事につきつけられた「気味の悪さ」を感じるはずだ。映画のレビューを読むと「観るんじゃなかった」といった感想も多い。
中学生をお持ちのお母さん方がこの本を読んだら、もしかして数日寝込んでしまう人が出るかもしれない。見たくないモノ、でも、実際には存在する感情。たがが外れてしまうと、ドクドクとあふれ出てくる狂気。そんなあらゆるモノが描かれている。お薦めは出来ないが、気持ちの強い方は読んでみてはどうだろうか。あくまでも自己責任の上でだが。そのぐらいキョーレツな本です。
いやぁ、久しぶりに「怖い」本を読んだ。というよりも、こんな本が出版され、映画化されている時代に生きていることの方が気味が悪くなってくる。でも、教育の一端に関わっている者として、子供たちはそんな時代とともに生きていることを知っておかねばならない。
ブラック先生やMr. Hot cake先生の読後の感想を是非とも聞いてみたいなぁ。