子どもに集中力をつけさせるために

勉強の出来る子と出来ない子の違いは簡単だ。集中力のある子は勉強が出来て、そうでない子はできない。とくに小学生では顕著にその傾向があらわれる。中学生や高校生でも同じことが言えるが、こちらは集中力だけでなくもっと別の要素が関わってくる割合も大きくなってくる。

塾の授業ではよくタイマーを回して演習をさせる。この問題は△分ね、といった具合だ。実際の受験の問題から考えて、この1問は△分で解くように、といったメッセージだ。でも、それ以上に「この区切りでしっかりと集中しよう」という意味も持っている。この「ひとつの区切りの中でしっかりと集中できるチカラ」が、その生徒の「学習するチカラ」そのものなのだ。

お母さんが「家の子は集中力がなくて」とおっしゃることがよくある。それではそのお母さんは、わが子に集中力をつけさせるために家庭で何をしているのだろうか? 「集中しなさい」と言葉で言っても子どもはどうしようもない。言うだけムダだ。それどころか、いっているお母さんがだんだん頭に血が上ってきて親子げんかになるだけだ。

子どもへの指示はいつも具体的に というのが大切なのだ

低学年の子どもであれば、この一行を書き終わるまでは、鉛筆を離さず、口をしっかりと結び、消しゴムなどに手を出さずに、と具体的に指示する。何もそこまで、といった思いはなくすこと。高学年になっても同じように、この区切りまでを大きな声を出して読みなさい、5分間はおしゃべりをせずに問題に取り組みなさい、といった具体的指示を出すことを心がける。指導する側は、その子の集中できる時間を推し量って、少しずつ区切りの量を増やしていく。

もうひとつ大事なことは、そうした指示を子どもがしっりとできるようになるまで、つまり習慣づけられるまで言い続けること。子どもの指導というのは我慢比べだ。指示したことが「くせ」になるまでしつこく言い続けること。逆に言えば、「くせ」になりそうもないムリな指示はしないこと。良いお母さんというのはそのへんのさじ加減が良くわかっている。

とにかく「具体的に」というのが子どもに対する時の最重要事項だ。学習指導者として私が心がけていることの第一も「生徒への指導は具体的に」ということにつきる。師走の1日。お母様たちも、子どもさんとの接し方を見直し、日常生活の中で守らせるべき「指示」について考えてみてはどうだろうか。

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