オムレツ屋にようこそ/西村友里作

小学生高学年の課題図書は「オムレツ屋にようこそ/西村友里作」です。

オムレツ屋にようこそ

一気に読めます。おもしろいです。長い文章を読むのが不得手な生徒でもどんどん読み進められるのではないでしょうか。大人が読んでもおもしろいです。もちろん、児童書ですから、展開がむりやりだったりします。そうしたところにつっこみを入れなければ楽しめます。正直、電車の中で読んでいた私は、ちょっと目頭が熱くなって周囲が気になった場面もありました。

良い言葉もたくさんちりばめられています。「たしかに一番上はいい。でも、一番下もいい。そして五段目の景色もいい。どこにだってすばらしい景色はあるんだ。それをどうやって見るかが大切なんだ。」「どちらかがわるいんじゃなくて、どっちの中学校に行ってもいいんだ。大切なのは、ぼくがそこでどうするか」「家族ってさ、だれかがだれかのためにがまんするもんじゃないよね」こうした言葉を小学生たちがどうとらえるのか楽しみです。

本の帯に書かれているあらすじです。『尚子はしばらくの間「オムレツ屋」でくらすことになった。そこはブログでも評判の、伯父が家族で営む洋食屋さんだ。母さんのつごうにふりまわされる尚子にとって、あたたかな食事や家族の団らんは、はじめて味わう理想の家庭だった。ふたごの和也、敏也とも意気投合した尚子はついに、母さんに、思いきった宣言をする。そして、「じぶんの宝物」を見つけ出していく。』

テンポの良さが「今」っぽい物語です。ちょうど、NHKの朝ドラみたいな感じです。登場人物もそれぞれのキャラが立っていて、やりすぎかな、という部分もありますが、物語として読めば良いでしょう。尚子も和也、敏也の双子も魅力的です。良い子過ぎる嫌いもありますが、こどもたちは自分を投影しやすいのではないでしょうか。

3.11以後、物語るということに作家たちは苦労しているようです。あの宮崎駿さんでさえ、ファンタジーはもう書けない、とおっしゃっています。その宮崎駿さんの最新作「風立ちぬ」ももうすぐ封切りです。私は勝手に「風立ちぬ」のテーマを「つながること」だと思っています。この「オムレツ屋にようこそ」のテーマも「つながるってどんなこと」ではないでしょうか。

いずれにしてもおもしろい作品です。たくさんの小学生に読んでもらいたいです。生徒たちがどの場面に共感し、何を感じ、どんな文章を書いていくのか。楽しみな作品です。