全国学力調査の先に見えてくるもの
さて、そんな事情はおいておきます・・・
実は、この「全国学力調査」の問題を、保護者の方はしっかりと見ておいて欲しいです。昨日も書きましたが、現中1が大学受験をするときから予定されている「高大連携改革」つまり「大学入試制度改革」での「新しい学力観」がこの問題からかなりはっきりと読み取れるからです。また、3年前からすっかり様変わりしてしまった神奈川県の公立高校入試問題にもこの「全国学力調査」の問題はつながっています。
ひとつの例です。
学力調査には、知識力を問う問題(A)と知識活用力を問う問題(B)の2種類に分かれています。上の問題は問題(B)のひとつです。紙で円錐を作る写真。展開図。中心角と半径の長さの表。そして中心角と半径との関係の式。そんな様々な情報が与えられます。そして、問題です。「底面が8cmの円錐を作るには側面になるおうぎ形の中心角は何度になるか。表or式のどちらかを使って説明しなさい」となります。
問題の難易度はそれほどではありません。たとえば、表から変化の割合を考えてyが8の時のxの値を出す、とでも答えれば正解です。ただ、ここではy=8の時のxの値そのものを答えさせるのではなく、その出し方を説明させているのです。知識そのものを問うのではなく、その知識を使って解答を導く過程をたずねています。
もう1問。
理科の問題です。電磁誘導についての問題なのですが、ICカードやワイヤレス充電の例から問題が作られていきます。これも知識を具体的なものの中で利用するチカラを試されています。また、どちらの問題も、何を問われているのかを様々な情報の中から自ら選び出して考えることが求められています。
どうでしょう。新しい県立高校の入試問題。さらには、今後おこなわれる大学入試改革でもとめられる学力というのはこうしたものだということがおわかりいただけたでしょうか。知識そのものをたずねられるのではなく、その知識へたどりつく過程や、その知識を使って何ができるか、といったことに力点がおかれています。