「読む蔵」の1月の作品と辻邦生

「読む蔵」の1月の作品です。

中でも受講2年目の「辻邦生/言葉が輝くとき」をお薦めしたいです。辻邦生は、わたしが中学生から高校生の時に読みあさった作家のひとりです。数年前に鎌倉の古本屋で全集を見つけて購入したほど好きな作家のひとりです。もちろんその小説も良いのですが、随筆や講演なども是非とも読んでもらいたいものがたくさんあります。

この「言葉が輝くとき」は1994年の講演集なので、辻邦生の晩年の作品です。その頃に「西行家伝」という小説を発表しています。名著です。辻邦生の作品は、どれも「生きるよろこび」に満ちています。もちろん、困難も死もあっての歓びです。人としての感性を研ぎ澄ますことで、生きることを全肯定する素晴らしさを教えてくれます。そして、なによりも日本語が美しいです。

中高生には是非とも読んでもらいたい作家のひとりです。

小中学生には「ユリアと魔法の都」を。中高生には「安土往還記」「ある生涯における七つの場所」 あたりが読みやすいでしょう。歴史好きの大人の方には「背教者ユリアヌス」「嵯峨野明月記」が。恋愛について考えている大人には「時の扉」がお薦めです。

若い時に感性を磨くことはとても大切だと思います。感性は流行や短文の中では磨かれません。じっくりと筆者と話をしながら読み進めるような「読書」をしたいですね。若いときに磨かれた感性はその後もずっとかわらず自分の中に残ります。

新刊書や流行り物ではなく、辻邦生のような作家の作品を是非とも手にとって欲しいです。

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