高校生のための現代思想ベーシック ちくま評論入門 改訂版
午前中は高3生の現代国語の授業。
テキストはこれです。
高校生のための現代思想ベーシック ちくま評論入門 改訂版 (高校生のための現代文アンソロジー・シリーズ)
今日の題材は「ボランティアとは何か 中井久夫」と「つながりとぬくもりと 鷲田修介」
「ボランティアとは何か」では、ボランティアの倫理的根拠を「惻隠の情」にあるとし、そのもとでボランティアは「熱く」動いていく。それは熱くなってはいけない行政の立場と補い合うものだ、と論を進める。
「つながりとぬくもりと」では、現代社会における「つながっていたい」という思いについて、それを都市生活の様態から考察。いまの子どもたちには遮断の認識が深いことを見逃してはいけないと結論づけていく。
ひとつひとつの題材はそれほど長くないが、現代の思想家・学者の著書からのアンソロジーになっている。大学入試の現代国語の対策としては、まずは、入試に出題される文章に「頭を慣れさせる」必要がある。「慣れる」ということは、一度はそこに書かれていることについて「考えたことがある」という頭をつくることだ。
今日の授業であつかった文書でいうと、現代社会における「個」と「集団」の関係について、というテーマに対して、少なくとも一度は向き合ってみたことがあるかどうか、ということになる。それは「コンテクスト」と「テキスト」の関係をきちんと考えることと同じだ。「テキスト」と「コンテクスト」は相互に支え合っている。
ただ、本当であればこのテキストのレベルで終わらせてはいけない。ここから気になった著者の本に興味をつなげていって欲しい。とはいっても、入試までには他の教科の学習もあるので無理かもしれない。大学生になってから、思索の深みをおっていってくれればありがたい。
大人の方にもお薦めの一冊です。2015年が初版なのでちょっと古くはなっているが、現代を考えるのに様々な切り口の評論が掲載されている。1,000円で「今」を読み解くことができる一冊です。