大学入試の英作文の出題傾向からこれから求められる学力を考える

私立大学の英語の入試問題で英作文の出題がある学校が増えている。これも「読み、書き、聞き、話す」の4技能への流れのひとつだ。しかも、その英作文が「自由英作文」というのが大きな流れになっている。自由英作文といっても、テーマが与えられて英作文するものがほとんどだ。

たとえば、早稲田の政経学部の自由英作文のテーマは

「Read the statement below and write a paragraph giving at least two reasons why you agree or disagree with it. Write your answer in English in the space provided on your written answer sheet.(It is suggested that you spend no more than 15 minutes on this section.)

2018 日本では、政府や大企業で主要な役職に就く女性の最小比率を設ける法を作るべきか “A law should be passed in Japan establishing a minimum percentage of women in key positions in the government and major corporations.”
2017 同性婚は日本で合法化されるべきかどうか “Gay marriage should be made legal in Japan.”
2016 日本では、喫煙は違法にすべきかどうか “Smoking should be made illegal in Japan.”
2015 日本の選挙権の年齢は18歳まで下げるべきか “The voting age in Japan should be lowered to 18.”
2014 不死は幸福か不幸か “People would be happier if they could live forever.”

となっていて、これらのテーマに対して「賛成か反対かの立場を明確にし、少なくとも理由を2つ以上交えて意見を述べる」という出題になっている。語数指定がないのだが、解答用紙の大きさから考えて100語から130語程度で答えればよい。

青山学院大学の法学部の場合は、

Please write around 100 words about the following topic, using your own English.

What is the best present your ever received?

といった出題になっている。テーマは「いちばん良かった贈り物」について。この前年は「What is your greatest fear and why?」なので「いちばん恐れていること」という出題だ。早稲田ほどかたいテーマにはなっていないが、自分なりに考えてから英作文しなければならない点は同じだ。

これからの時代に求められる学力は、アウトプット型だとよく言われる。従来型の英作文の問題は、ある構文がわかっているかを試すために「日本語→英語」といった出題だった。それが、これからの出題では「自分で思考する」「自分で判断する」といった「手間」が入ってくる、ということだ。

と同時に、一般的な知識やちょっとした雑知識を広く浅く持っている必要もある。自分の意見を述べるに当たって、それを説明するための「ちょっとした知識」が必要になってくるからだ。英語の試験なのに、ふだんから「社会」やら「理科」やら、もっというと「すべての教科」について丁寧に学習しておくことが求められる、ということだ。

高校入試の英作文も「日本語→英語」といった出題にはなっていない。漫画からストーリーを考えて英作文したりする。一段階の手間が必ず入っている。子どもたちはもともと英作文が不得意だ。しかも、自分で考えて、というのも大不得意だ。このふたつが合わさった問題を解けるようになるには、ふだんからの対策が必要になる。

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