やっぱりすごいぞ! 湘南高校

神奈川県私塾協同組合の県立高校訪問で「神奈川県立湘南高校 http://www.shonan-h.pen-kanagawa.ed.jp/zennichi/index.html」を訪問してきました。前回は時乗校長先生の時(その時の記事は https://miyajuku.com/blog-entry-29926/です)でしたからそこから4年が経っています。今回は稲垣校長先生と岩崎副校長先生にご対応いただきました。校務にご多忙の中、わたしたちのためにお時間を使っていただいたことに心から感謝いたします。

湘南高校の「今」ということで、先ずは今年の春の進学実績です。

国公立大・・・北海道大/8名、東北大/8名、筑波大/11名、千葉大/6名、お茶の水大/2名、東京大/19名、東京外語大/4名、東京工業大/8名、一橋大/17名、横浜国立大/34名、名古屋大/1名、京都大/11名、大阪大/6名、九州大/1名、首都大学東京/4名、横浜市立大/6名など。私立大・・・早稲田大/174名、慶應義塾大/76名、上智大/..名、東京理科大/86名、明治大/190名、青山学院大/46名、立教大/91名、法政大/76名など。 学校案内より

東大の合格者こそ一昨年の25名から19名に減らしてはいますが、京都大へ11名ですから生徒たちは多様な選択をしているととらえて良いのでしょう。ひとときの低迷期を脱して県内県立高校をを「横浜翠嵐高校」とツートップで引っ張っています。

さて、いくつかの章立てをして湘南高校の「今」を稲垣校長先生のお話を中心としてまとめていきます。

100周年記念事業

湘南高校は2021年に100周年をむかえます。県内の県立高校では希望ヶ丘高校や厚木高校などとっくに100周年をむかえている学校がたくさんあります。湘南高校はそれほど古い学校ではないんですよね。そんな100周年に向けて湘南高校の卒業生たちが大きなプロジェクトを進めています。

それは「公益社団法人湘友会奨学財団」の設立です。

卒業生たちの寄付を原資に、物心両面で湘南生の支援活動しようという取り組みです。具体的には ①短期海外研修奨学金(海外トップ大学での研修、スポーツ、音楽、芸術分野での研修) ②海外留学奨学金(海外の高校、大学への留学) ③進学奨学金(経済的な理由での国内大学への進学が困難な生徒への助成) ④助成金支給(海外留学のための検定・資格への助成)などです。しかも対象は在学生と卒業後2年までの生徒です。

湘南高校では「スタンフォード大学」に学校行事として毎年のように生徒を派遣しているとのこと。しかも「都立日比谷」「都立西」「埼玉県立浦和」「埼玉県立浦和第一女子」「千葉県立千葉」「千葉県立船橋」の生徒たちと一緒にです。

稲垣校長先生は「たった1週間ほどの短期留学なんですが、戻ってきた生徒たちは人間が変わってしまうんですよ。だって、首都圏のすごい公立高校の生徒たちが集まって、あっちにいって一生懸命に英語で頭を動かしてくるんですから。そりゃあ、すごい化学反応を起こすに決まってますよね。

その通りだと思います。このスタンフォード大への短期留学だけとっても湘南高校に進学する価値があるとわたしは思います。しかも湘友会から支援もあるのですから。なお、この財団の取り組みは100周年を待たずに進行していて、すでにこのスタンフォード大への留学やウィーン国際アドヴェントジンゲン合唱祭への参加に支援がされているようです。

この湘友会の取り組みは朝日新聞にも取り上げられています。http://www.asahi.com/area/kanagawa/articles/MTW20190325150230001.html

湘南高校生は自分にないものを他人に見つけてリスペクトしあう

稲垣校長先生のお話で最も印象深かったことです。

ここの生徒たちはですね、お互いを客観視しながらリスペクトできるんです。わたしのもっていない△△をあのひとは持っている。だからあの人はスゴいって、お互いがそんなふうに思い合ってるんですよね。誰か自分よりも下のものを見つけて自分の位置を安定させようなんて思わないんです。

湘南高校の生徒の雰囲気を最もよくとらえた言葉だなぁ、と思いました。わたしも卒業生ですが、数十年経った今でも、社会的な地位も全く違うのに、高校の時と同じようにそうしたものもひっくるめてみんながお互いをリスペクトしあってつきあい続けています。これが「湘南高校気質」というものではないかと思います。

文武両道

湘南高校は初代校長の赤城先生の教えを今も守り続けているというとてもおもしろい学校です。その教えとは「日本一の学校」を目標とし「智・徳・体三育の調和的発達」「文武両道」ということです。と同時に「自由で伸びやかな校風」です。勉強するのは当たり前、部活動も行事もしっかりとやる、ということを湘南生たちは日々に実践をしています。

とにかく忙しい毎日です。授業は70分。昼休みには「対組競技」といって、毎月のようにバレーやバスケだと学年をまたいでのクラス対抗の試合があります。放課後の部活動も盛んで、運動部のいくつかは県大会の上位に食い込んでいくし、文化部は合唱部をはじめとして全国大会レベルの部活動がたくさんあります。

文化祭もあるし、何よりも湘南生が魂をこめて実施する体育祭は秋。高3生は夏休み中をすべて朝から夕方までその準備に費やします。小道具、大道具、バックボード、衣装・・・などなどのパートに分かれ、3年から1年までを縦割りにした色別の対抗戦です。湘南の卒業生は「何色だった?」「イエロー」といった会話から挨拶がはじまるほどこの色のつながりは強いものがあります。

秋が終わって高3生たちは受験勉強に本格的に取り組みはじめます。一つ前の先輩たちの背中を見ているので、それをこえようという意識が強く働き、そこから一気に頑張るんです。

湘南生は楽しいことを自分で作っていく

稲垣校長先生は「ここの生徒は楽しいことを自分たちでどんどん作っていくんです」とおっしゃっていました。湘南高校も一時期低迷していた時期がありました。他の県立高校もそうですが、十数年ほど前から様々な改革がおこなわれて、湘南高校だけでなく多くの県立高校が劇的に変わっているのをわたしはよく目にします。

とくに進学重点の4校とエントリー校の13校については、県内各地でそれぞれの地区の生徒たちを引っ張っていこうという学校の姿勢が強くうかがえます。17校で英語のディベート大会を開くなどもしているようで、「定期的に会合を開いてお互いのノウハウをフルオープンで伝え合ってますよ」と校長先生もおっしゃっていました。

そんな中でも湘南高校と横浜翠嵐高校の2校が県内の2トップとして引っ張っていく位置にあることは間違いありません。文武両道は今の時代では難しい、という声もあります。わたしもそう思うこともあります。でも、校長先生がこうおっしゃいました。「進学実績が低迷していた時期は部活動も奮ってなかったんです。こんなところでいいや、といった意識が生徒の側にも教員の側にも芽生えてしまうんですね。ここのところ進学実績が伸びてきたら部活動の実績もすごいでしょ」

そうなんでしょうね。

稲垣校長先生はHomePageでこう中学生に語りかけています。

中学生諸君、湘南高校で、最難関校合格を目指して勉強に励むだけではなく、学校行事で青春を謳歌し、部活動で全国大会出場を狙って、3年間を充実した高校生活にしようではありませんか。 もう一度、言っておきます。- Always do what you are afraid to do! -

古いけど新しい

湘南高校はいろんなところが変わりません。湘南体操や縄跳び、泳げるようになって卒業するなどは変わらず続いています。校長先生も「根っこの所は変えない」とおっしゃっていました。それでも時代は動いているので変えるべき所は変えている、ともおっしゃいます。

たとえば、学校は「学年」単位でものごとが動いていくところがある。これだと「良い学年」と「悪い学年」ができたりする。また、誰かひとりの「良い教員」がいたからよかった、なんてこともよくない。だから今の湘南高校は「進路を担当するメンバー」を中心にものごとを動かすようにしている。

英語の外部検定試験がドタバタとしているが、こうしたことへの対応も、学年や教科ではなく「進路」を中心として話し合いをし、こうしていこうという方針を決め、それを学年や教科におろしていくようにしている。

すごいなあ、と思いました。とても理にかなっている仕組みだと思ったからです。

Always do what you are afraid to do!

↑ 写真は湘南高校の図書館です。7万冊以上の蔵書があり、高3生は夜の9時過ぎまで自習ができるそうです。

ちょっと熱くなって書いてしまいました。また、稲垣校長先生のお話に、卒業生&娘が十年ほど前に通っていた保護者としての筆も入っています。ご承知おき下さい。いずれにしても「良い学校」です。「目指すべき学校」です。何よりも「人生を変える学校」であることは間違いありません。湘南高校での3年間は一生ものだということです。ここは熱く語らせてください。

来春の入試は「入試 : 学校成績 : 面接 : 特色」が「3 : 5 : 2 : 1」です。「特色」が「1」なのについては、校長先生は「やっぱり湘南高校にマッチする生徒はなにか突出したものがあるというよりもバランス良くどれもできる生徒なんだと思うんです。例えば、5科のテストでどれか1教科がストンとできなかった受験生がいて、特色が2だとその生徒が受かってしまうんです。やっぱりそれは湘南高校が求める生徒ではないわけで」とおっしゃっていました。

全県模試調べての今春の内申平均は130.5で、入試の得点平均は435.5、偏差値は72.7です。高いです。しかも倍率も出ます。目指さなければ絶対に行けません。でも目指す価値はあります。それこそ Always do what you are afraid to do! です。

蛇足 こんな番組 ↓ が放送されます。この中で湘南高校の体育祭も取材されています。