丹沢の森と鹿について考える
17日の土曜日は、子どもたちを連れて丹沢の山に植樹に行く予定だったのですが、大雨のために植樹イベントが中止になってしまいました。また、秋の機会に参加をしたいと思いますし、コロナ禍の行方次第ですが「丹沢での自然体験会」も夏には開きたいと思っています。
植樹は中止になりましたが、18日の日曜日には「丹沢フォーラム」が開催されました。これは「丹沢自然保護協会」が主催する「丹沢フォーラム」でした。テーマは「丹沢自然再生 いま、丹沢で考えたいこと 渓流域の森林環境 自然再生の現地を訪ねる」です。以下はその様子を簡単にまとめたものです。読んでいただけるとありがたいです。
先ずは座学です。
田村さんという県の職員の方から「渓畔林再生の現状と課題」というお話をうかがいます。渓畔林というのは渓流の周辺の森林のこと。戦後、そうした所にまで杉などの植林がされ、それによって本来の植生が失われています。そうなることでたとえぱ渓流に住む魚の餌となる虫が供給されなくなるなど様々な問題が生じます。県ではそうした渓畔林の再生に取り組んできたのですが、鹿の食害によって植生の回復がうまくいかない。そこで鹿柵を作って、という対策をしている。ざっくりとそんなお話でした。
つぎに同じく県の職員の永田さんから「森と鹿が共存するために」というお話しを聞きます。神奈川県だけでも1年間に2000頭以上の鹿が駆除されています。鹿はもともと山に生息していた生きものではありません。広い草原に生息していました。そうした生息域が人によって浸食され山に追われていく。しかし、山には旺盛な食欲の鹿のお腹を満たすだけの植生がなかった。永田さんは言います。鹿を駆除するだけで良いのだろうか、これからわたしたち人が森とどう向きあうのかをしっかりと考えなければいけないのではないだろうか。
2時間半ほどの座学の後、お昼を食べてから境沢林道を歩きながら現地研修です。渓畔林を意識した山歩きをしたことがなかったので、こんなに鹿柵が渓流沿いにあることを初めて知りました。こんな場所も見ました。鹿を捕獲して減らしているのに、鹿柵内の植生とその周囲の植生に明らかに違いがあります。つまり、鹿の数を減らしたとしても植生回復には結びついていないと言うことです。鹿の食欲を満たすのと山の自然の営みが相容れないと言うことです。難しい問題ですね。
丹沢という山は横浜や川崎といった大都市からそれほど遠くない場所にあり、わたしたちに毎日の水を供給してくれる森です。熊もカモシカもクマタカも生息する豊かな自然です。そんな丹沢で起こっていること。それをわたしたちが知り、考えることはとても大切だと思います。ひとりでも多くの人が丹沢の自然について考える機会を持つこと。それが小さな1歩だとしても結果として豊かな森の再生につながるからです。
なによりも未来のある子どもたちが、自分たちが生活する場所から見える場所にこんな豊かな自然があり、たくさんの動植物たちが生息していることを、目で見て、肌で感じて、耳で聞くことがとても大切だと思います。これからも植樹などそんな機会をたくさん作っていきます。ぜひとも参加いただければありがたいです。