嫌なこと
卒塾生の○○に中学生の個別指導のチューターをやってもらっている。休憩時間に、大学生活のことを話した。文系の大学生は「ありあまる時間」をどう使っていくかが大切だよ、なんて話をした。「何をしたいか、を早く見つけたいな」と○○が言うので、「それは違うな。何がしたいかではなく、自分には何ができるか、自分は何をしたくないか、を見極めることだね。」と話した。「どういうことですか?」というので、
ボクはね、誰かといっしょに何かをやることがとっても不得意なんだ。そのことをよーくわかっている。たとえばボクは山に登るけど、単独でしか登らない。誰かのペースに合わせるってことが全然できないんだ。山岳会なんてものには絶対に入れないな。妻と二人の親友だけだね。いっしょに山に行けるのは。ここで判断を誤ると死ぬかもしれない、という選択を山ではしなければならないことがあるんだ。そんな判断はあくまで自分でしたいからね。自分の選択には、あくまで自分で責任を負いたい。そんな気持ちをいつも持ってしまうんだ。
そんなボクが大学を卒業するときに考えたのは、絶対に組織の中での仕事はできないな、ってこと。とくに誰かに「ああしろ、こうしろ」って言われるのはダメだ、と思った。自分だけで判断し、自分だけで仕事ができる、そんな仕事はないだろうか、それが仕事を決める基準だったね。あくまで自分で責任を持てる仕事。そんな仕事を探したね。
「ちょーわがままじゃないですか。」そう言われた。その通りだと思う。でも、そのわがままを通して30年近く仕事を続けている。やりがいもある。だからこそ若者に伝えたい。「何がしたいか」ではないんだ。「何ができないのか。何をやりたくないのか。」そこから考えはじめて欲しい。そう考えることは決して後ろ向きな考えではないよ。