厚みのある学力

土曜日の午前中は私立受験クラスの理科と社会の授業。理科は「浮力」、社会は「戦後の国際紛争と核問題」について。浮力ではつぎのような問題を理解させるのが目標になる。

1 金属球の体積は?
2 金属球の1立方センチあたりの重さは?
3 図3の台ばかりの ? グラムの値は?
4 金属球を沈めると台ばかりは何グラムの値を示すか?

まずはしっかりと浮力の意味を理解できたかどうか。押しのけた水の体積分が浮力となるので、バネばかりが600gから500gに減った分だけの浮力が生じたことになる。その重さ分の水の体積が金属球の体積なので100立方センチ。この問題が出来ないとつぎから後の問題もできない。そして最大の問題は 3 の問題。水が金属球を押している分の力を水を支えている台ばかりも受ける、ということを理解させるのに苦労させられる。

理論としてはそれほど大変なことを学習しているわけではないが、この問題を中2や中3にやらせたとするとどの程度の生徒がしっかりと解答できるか疑問符がつく。浮力という考え方は中1で学ぶことになっているが、上のような問題をしっかりと考えられるだけのチカラを身につけられるだけの学習内容にはなっていない。

社会は、知識理解だけでは解けないような出題も中学入試には多い。今日も穴埋め式に知識を整理した後、次のような記述問題に取り組ませている。

1 ヨーロッパの国々はどうしてEUという組織を作って、経済的、政治的な結びつきを強めているのだろうか?
2 核兵器をなくすためになくすための世界的な取り組みを「核拡散防止条約」の内容を中心に説明しなさい。
3 東西冷戦というのはどうして東西というのだろうか。東西の意味と冷戦の意味にふれながら説明しなさい。

こうした現代世界についての学習は中2の歴史分野や中3の公民分野でやるのだが、ここまでつっこんだ記述をまとめるだけのチカラは求められない。

私立中学受験についてはいろいろと弊害も多いことは理解している。でも、この時期にこれだけの論理や思考力を問われる学習をしていくことは、子供たちにとってとても大きな「財産」になると思っている。小学校のあの薄っぺらな教科書の学習ではとても身につかない「厚みのある学力」が手に入れられる。

私は中学受験をしなくても、こうしたカリキュラムで学習することを勧めたいぐらいだ。実際、私の子供たちは私立中学受験はしなかったが、小学生の時は四谷大塚に準拠した教材で算、国、理、社とも学習をさせていた。子供というのは与えられた刺激に比例したものを身につけるし、小学生の高学年の時期はそうした刺激をどんどん吸収するスポンジのような頭脳をもっている時でもある。

そこまでいかなくとも、miyajukuに通っていただいている普通クラスの小5、小6の生徒たちにも、こうしたカリキュラムをふまえた上での「厚みのある学力」をつけるための学習をさせたいといつも考えている。それも、単なる知識の押しつけではなく、自ら考えて見通しを立てて問題解決をしていくチカラ。難しいことだが、そんなチカラをつけるための負荷を与えたい。

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