永遠に捨てない服が着たい
「永遠に捨てない服が着たい 太陽の写真家とこどもたちのエコ革命/今関信子著」
帯に書かれた文です。「わたしたちが大人になるまで、地球は待ってくれるの? 温暖化、環境破壊が進む地球のために、自分たちに、何ができるのだろう。エコにとりくむこどもたちの願いから、『永遠に捨てない服』、リサイクルしつづけることが出来る体操服が生まれた。全国で捨てられるこどもたちの体操服を積み上げると、宇宙まで届く! もし、ゴミになってしまう体操服を生き返らせることが出来たら? 環境学習の先生になった一人のカメラマンと、こどもたちのノンフィクション」
Do You KYOTO? という言い方があるのを皆さんは知っていますか? KYOTO という固有名詞を「環境に良いことをする」といった意味での動詞として使う表現です。京都議定書(平成9年に国立京都国際会館で開催されたCOP3で採択された議定書)にちなんで、平成19年にCOP3の10周年記念行事で京都に来たドイツのメルケル首相が使い始めたともいいます。
そんな京都の町のこどもたちが一人のカメラマンと環境問題に取り組んでいくノンフィクションです。この本に描かれたこどもたちは本当にすごいです。頭が下がります。また、そのこどもたちを取り巻くオトナたちもすごい。「かまど金制度」というのが京都には昔から合って、地域のこどもたちのために地域のオトナたち(町衆というのではね)がこどもたちのために動くという伝統があるのです。
環境問題というとなんだか難しい、といった思いを持ちがちですが、この本では科学的な数字もわかりやすく説明してあります。たとえば、ある小学校の昇降口に置かれたドッチボール8個。体操服のリサイクルに取り組んだ場合に減らせる二酸化炭素の量です。小学生は1人あたりドッチボール8個分。中学生なら30個分。京都市全体で体操服のリサイクルに取り組むと、小学生ならドッチボール84,702個分。中学生なら301,980個分。こんな感じでこどもたちが想像しやすい置きかえがされています。
文体が教科書のようなのもこどもたちには読みやすいかもしれません。後書きには3.11と福島第一原発の自己についての作者の「熱い思い」も書かれています。こうした時です。こどもたちが環境問題を考える良いきっかけとなる一冊になるはずです。