神奈川総合産業高校

今日は「神奈川総合産業高校」を訪問してきました。副校長先生と教頭先生に対応していただき、丁寧に学校の説明をしていただきました。ありがとうございました。神奈川総合産業高校は、教養と科学を学べる学校ということで「Liberal Science&Arts Academy」という意味でLiSAと呼ばれているようなので、以下、LiSAと言わせていただきます。

単位制の総合産業科の高校です。2005年に相模台工業高校と相模原工業技術高校の2校が統合してできた学校です。しかも総合産業科という名称から、工業科が名称だけ変えた学校ではないか、といったイメージをもっている生徒、保護者の方が多いのではないでしょうか。その理解は全く違うと思います。

単位制ですからある意味ではひとりひとりの時間割が違います。卒業までに74単位を取得し、そのうち25単位を専門科目から取得することになります。専門科目は、工学系、情報系、環境バイオ系、科学系の4つの系とリベラルアーツ分野から選択します。詳細は学校ホームページの ここ を見て下さい。

今日も授業中の校内を案内していただきましたが、ある教室で「プログラミング」の授業をやっているかと思うと、その隣の教室では「雑誌のデザイン」についての学習をし、こっちでは車のエンジンの解体をしてその仕組みの学習をしていて、あっちでは調理実習をやっている、といった様子です。副校長先生のお話では、1台の車を作ることを考えると、エンジンなどの工学系だけでなく、それを売るマーケッティングや、環境に配慮したテクノロジーも必要になる。モノ作りをトータルに学ぶことができるのが総合産業科です、ということでした。

視聴覚室をはじめとして設備もすごかったです。ある意味では県が「特色ある学校づくり」を目指して作った高校の究極の形なのかもしれません。

神奈川総合産業01

神奈川総合産業02

もちろん、上記のような専門科目だけでなく、数学や英語といった教科も共通科目としてきちんと学びます。いくつかの授業をのぞかせていただきましたが、ほぼすべての生徒が授業にしっかりと向き合っている姿が印象的でした。miyajukuのS君も、教室の一番前で真剣に数学の授業に取り組んでいました。制服はないのですが、みんなきちんと高校生としての立場をわきまえた服装です。単位制なので授業の空き時間などがあるのでしょう。そこかしこに設けられた自習スペースや図書室できちんと勉強をしていました。

授業は実験や実習などが多いこともあり90分が一コマで、午前に2時間、午後に2時間とのこと。数学などは習熟度別の授業も実施。部活動も盛んで、とくに文系の部活動がにぎやかだということでした。L.B.T部などという舞台照明や音楽の演出をする部活やロボメック研究部というロボット製作の研究をする部活などもあります。運動部も弓道部などは強いそうです。

平成26年春の進学実績は、首都大学東京/1名、電気通信大/2名、東京農工大/1名、東京芸術大/1名、茨城大/1名、早稲田大/2名、立教大/7名、明治大/4名、東京理科大/2名、法政大/1名、日本第/12名、専修大/7名、東京都市大/5名、神奈川大/14名などというもの(伸学工房調べ)。

来年度入試では、238名の募集で、調査書 : 学力検査 : 面接の比率は、4 : 4 : 2 で、調査書の英、数、理が2倍されるという傾斜配点です。2次選考は、学力検査 : 面接のみで、8 : 2 の比率です。27年度入試の倍率は1.00倍、26年度は1.29倍と年度によって幅があります。合格者の内申平均値は93.0で入試得点は270点前後(伸学工房調べ)。湘南台、大和西よりちょっと下といったラインです。

正直、びっくりさせられました。アクティブラーニングがさわがれていますが、この学校は仕組みそのものがアクティブラーニングです。あれだけのおもしろそうな科目の中から自分の興味、関心にそった授業を選ぶわけです。みんな積極的に授業に参加します。そして、そこで数学や理科やその他の基本教科の重要性に気づきます。とうぜん、将来の進む道もはっきりと見えてきます。動機付けがされれば、授業中に寝ていたりするものはいなくなります。やらされている勉強ではなく、自らが選んでやっていく勉強なのです。

良い学校だと思いますし、なによりもこれからの時代に必要なチカラを身につけることができる学校でしょう。この設備と教育内容にしては入りやすい学校です。県立高校の中でも最高のコストパフォーマンスの学校ではないでしょうか。こんな専門的な教育、ここでなければ受けられないでしょ、といった授業がたくさんあります。保護者の方も、いらぬ先入観をなくし、こうした学校も選択肢の一つとして積極的に足を運んで見てはいかがでしょうか。

学校説明会などは終わっているようですが、11月22日と23日に、ここを会場に「神奈川ロボットフェスタ」が開催されます。これはこれでおもしろそうなイベントです。

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