「うちの子の成績、どう見ればいい?」 40年の教育現場が教えてくれたこと


はじめに
「なんでこんな点数なの!」と子どもの答案を見てため息をついたこと、ありませんか?
あるいは、通知表の「4」や「3」を見て、「クラスで何番目くらいなんだろう」と気になったことは?
実はその感覚、今の学校の評価の仕組みとは、根本的にずれているかもしれません。
神奈川県・中央林間で40年以上にわたって子どもたちを指導してきた「宮崎教室」の宮崎先生に、現代の学校教育と成績の見方についてお話を伺いました。保護者世代が当たり前に思っていることが、実は「昔の常識」になっているかもしれません。
「成績=クラスの順位」ではなくなっている
まずここが一番大事なポイントです。
私たちが子どもだった頃の通知表は相対評価でした。クラスの中で上位何%が「5」、次の何%が「4」……という形で、他の子との比較で成績がつきました。
ところが今の学校は絶対評価が基本です。
「成績は他の子との比較ではなく、達成度なんです。知識・理解ができているか、思考・判断ができているか、その観点ごとにA〜Cが付いて、それが数値化されている」(宮崎先生)
つまり「5」は「クラスで上位10%」ではなく、「その学年の学習内容をしっかり習得できている」という意味なのです。
だから、全員が努力すれば全員が「5」に近づける。これが今の評価の考え方です。
「何点だった?」より「どこがBだった?」
では、テストの点数はどう見ればいいのでしょう?
宮崎先生によると、今の中学校の定期テストには観点別の設問があります。
- 知識・理解を問う問題
- 思考・判断・表現を問う問題
それぞれに対してA〜Cがつき、それが内申点に反映されます。
「合計点が何点かより、どの観点がBだったのかが大事。数学で点数が低かった時も、知識がBなのか思考がBなのかで、勉強のやり直し方が全然違う」(宮崎先生)
保護者がすべき声かけも変わります。
❌ 「なんでこんな点数なの!」
✅ 「思考・判断のところがBだったんだね。どんな問題が解けなかったか見てみよう」
点数で叱るより、どの観点が弱いかを一緒に確認することの方が、子どもの学びに直結するのです。
なぜ「宮崎先生受けがいい子」という表現はおかしいのか
絶対評価には「主体的に学習に取り組む態度」という観点もあります。
これが「先生受けがいい子が有利」という誤解を生んできました。確かにそういうケースもゼロではないかもしれませんが、本来は自分から進んで学ぼうとする姿勢を評価するものです。
ちなみに文部科学省もこの観点の扱いを見直す方向で、数年後には評定から外れる予定だそうです。
それでも「入試は相対評価」という現実
ここで重要な注意点があります。
学校の通知表は絶対評価ですが、高校入試は依然として相対評価です。
神奈川県の入試なら500点満点のテストで、問題によって正答率が数%のものから80%近いものまであります。内申がオール5でも、入試で高得点が取れるとは限りません。
「学校の成績と入試の学力とのギャップは大きくなっています。先生に進路指導を求めても、学校の先生は絶対評価の中にいるから、相対的な位置を判断する材料がない」(宮崎先生)
これが今の進路指導の難しさです。かつては市内全中学生の成績を一覧にして進路指導をしていた時代もあったそうですが、今それはできません。
だからこそ、模擬試験や外部テストで「相対的な位置」を把握する機会が重要になってきます。
各家庭で「軸」を持つことの大切さ
では保護者は何を判断基準にして進路を考えればいいのでしょうか。
宮崎先生は「各家庭が寄って立つ基準を持つことが大事」と言います。
たとえば——
A:学力を伸ばして上位校へ進むという方針なら、外部模試で相対評価を定期的に確認しながら進路を考える。
B:その子の個性や興味を伸ばすという方針なら、今の神奈川県には専門学科・総合学科など多様な高校があり、「数学をやらずにエンジン分解ができる」「雑誌をつくる授業がある」といった学校もある。
どちらが正解ということはありません。ただ、軸がないまま通知表の数字だけ見て一喜一憂するのが一番もったいない、と宮崎先生は40年の経験から話してくれました。
まとめ:保護者が持っておきたい3つの視点
- 通知表の数字は「達成度」。他の子との比較ではない。
- テストは「何点か」より「どの観点が弱いか」を見る。
- 学校成績と入試学力は別物。相対的な位置を知るには外部テストを活用する。
私たちが経験してきた「学校・先生・成績」のイメージは、すでに大きく変わっています。その変化を知った上で子どもと向き合うことが、これからの時代の親子の学びのスタート地点ではないでしょうか。
この記事は、神奈川県・中央林間で40年以上教育に携わる宮崎教室(宮崎先生)へのインタビューをもとに作成しました。