大切な観点
近時の教育改革の流れには「競争による教育の効率化」といった流れがあるように思う。
たとえば、昨今の教育の流れとしては「公立離れ」というものがある。日能研の調査によると首都圏では、87年に8.0%だった私立中学の受験率は、07年には18.9%までになっているそうだ。当然、誰もがコストとをかけて一貫の私立中学に通えるわけではないので、公立でも中・高一貫校を作ろう、それこそが公教育の役割だ、ということになってくる。実際、公立の中・高一貫校の受験倍率は20倍を超えるほど過熱している。
確かに様々な選択肢を公教育が提示し、学校同士を競わせるシステムは教育の受け手には優しく見える。
はたして、本当にそうなのだろうか。
実は、エリート教育に税金を傾斜的に投入する流れになっているのではないだろうか。将来は使い捨てられるような底辺労働者になるはずの若者たちに、過度な教育コストをかける必要はない、といった流れになっていないだろうか。
競争を否定しているのではない。頑張った者には頑張っただけの見返りが与えられて当然だとも思う。しかし、誰もが頑張れる環境にないことも事実だ。そうした者を救うのも教育の大切な役割だと思う。
教育コスト、といった発想そのものが教育になじまないともいえる。
学習塾という仕事をしていても、こうした観点は忘れたくないと思っている。