お薦めの本です

「偽善エコロジー 環境生活が地球を破戒する」 武田邦彦著

テレビ番組などでタレントが出てきて「地球環境を守りたいですね」などとはじまると私は寒気をおぼえる。環境問題はそんなに単純なものではない。そのひとつの証左がこの本を読むと良くわかる。いわゆる「地球にやさしい」と私たちが思いこんでやっていることが、どれだけムダで意味のないことなのかが具体的な数字とともに述べられていく。

たとえば「レジ袋をやめエコバッグにすると、かえって石油の消費が増える」と筆者は言う。

レジ袋は石油の中でも低い沸点の化合物を有効利用する中で作られている。いわば石油の“廃品”の利用だ。もともとレジ袋が「タダ」で供給されるようになったのは、価値がなかったものを使えるようにしたからだ。レジ袋をやめてしまうと、今まで有効利用できていた“ある石油の成分”を燃やすしかなくなってしまう。さらにレジ袋の代わりに使う「エコバック」は、石油の中でも汎用のきくBTX成分を使って作る。しかもこのBTX成分は量が少なく引く手あまた。結局はレジ袋よりも石油の使用量を増やす結果となってしまう。もともと使い道のなかった原料を使って石油の有効利用をしているのに、より貴重な資源を使うエコバックを推奨する。これほど非合理があるだろうか。

「環境」の問題を考える時はひとつひとつのことを個別に考えるのではなく、全体としてどうなのかという視点を持つ必要があると筆者は言います。そのとおりだと思います。

ここでも「みんなが一斉に言い始めたときは???を投げかけよう」という原則が成り立っています。

No レジ袋、はスーパーやコンビニの経費削減には役に立つのでしょうが、環境のための効果は疑わしいということです。

環境問題は難しいですね。同時に奥が深い。とりあえず「地球に優しいって・・・」という言葉を安易に使うことは避けたいです。それこそテレビ番組のタレントさんたちのように(^^) 自分の思想信条としてエコバックを持つのは自由でしょうが、それを社会運動にしたり他人に強制することは、スーパーやコンビニの経費削減の片棒をかつぐだけになりかねないのです。

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