自分らしく

自分らしく、という言葉は今の時代のキーワードだと思う。親は誰もが子供に「自分らしい生き方」をのぞみ、子供も学校で「自分らしい生き方」をさがそう、と先生から言われ続ける。子供達はいつしか「自分らしい生き方をさがす」ことが大切なのだと思いこんでしまう。「自分さがし」こそが今の教育の大きなテーマになっているように思う。

私はこの「自分らしく」「自分さがし」という言葉が好きではない。「自分らしく」という言い方の根底には、「今の自分は本当に自分らしい生き方をしていない」といった前提条件がある。だから「自分らしい生き方をさがそう」となる。でも、「自分らしい自分」「本当の自分」なんとものはどこかにころがっているのだろうか。そんなものはどこかにポツンと落ちているのだろうか。

「自分はこうありたい」が、今の自分はその「こうありたい自分」とは違う。何でだろう、どうしてだろう。「こうありたい自分に近づくにはどうしたらいいんだろう」。そんなどだばた、あくせくする今の自分。そんな自分があるだけなのが現実ではなかろうか。

どこまでいっても、人間なんてモノは「自分らしい自分」に到達できない。だからこそ毎日毎日、そうした自分に一歩でも、半歩でも近づこうとする。大事なことは、そうした今の自分を丸ごと引き受けることだと思う。「自分らしい自分」と「今の自分」とのギャップに苦しみもがく自分をしっかりと見つめ、そんな自分を鍛えることが大事なのだと思う。

「自分」は「さがす」ものではない。「自分」は「鍛える」ことで到達するモノなのではないだろうか。ちょっと難しい言い方をすると「本当の自分」は「外」にあるのではなく「内」にあるんだ。

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