徴兵制

塾の生徒たちには時々話をすることだ。

「みんなは日本の子供に生まれて幸せだ」
「幸せな理由はたくさんあるけど、中でも一番幸せなのは徴兵がないことだ」
「日本の周りの国にはみんな徴兵制がある。韓国、北朝鮮、中国、台湾、ロシア、モンゴル、タイ、インドネシア・・・」
「ヨーロッパの国だって徴兵制の国は多いんだよ。ドイツ、ギリシャ、オーストリア、スイス、スウェーデン・・・」

娘が最近親しくなった友達の一人に韓国からの留学生がいるらしい。その学生は、来春には一度母国に戻ることになる。兵役の義務を果たすためにだ。韓国の徴兵は2年以上に及ぶ。

「その子がね、しきりに生きてまたこの学校に戻ってこられたらいいんだけど、って言うの」
「そんな大げさな。兵役ってそんなに大変なの?」
「先輩にも何人か戻って来られなかった人がいるんだ」
「東方神起の若者たちも、今は徴兵を延期してもらっているけど、いつかいかなければ行けないんだ。そうすると、ものすごいいじめがあってね・・・」

韓国の徴兵事情についていろいろと話をしたらしい。

韓国の人たちはみんな銃が使えるという。兵役で厳しく訓練されるからだ。最近の円高で増えた日本人の観光客は、ソウル市内の「射撃場」で本物の銃を撃つツアーに行くらしい。地元の人たちはそんなところには行きはしない。射撃の訓練などあきあきしているからだ。「射撃好きの日本人」というのが、最近の韓国での日本人へのイメージらしい。

中3は公民の学習の中で日本国憲法を学んでいるところだ。平和憲法を持つ日本。その現実は、世界の若者たちの常識とは隔絶している。その幸せを噛みしめるべきだ。

娘が言っていた。

「同じ世代なのに、徴兵とか、戦争だとか、死だとか、私たちがまったく考えないことに真剣に向き合うしかないんだよ。だから、一生懸命に勉強もする。私もいろいろと考えさせられた。」

その通りだと思う。20歳という時期。日本の若者は、国家だとか、戦争だかとか、そんなモノとは無縁に生きていくことが出来る。でも、世界中の多くの若者たちは違う。

同時に、子供を徴兵に出す親の気持ちはどんなものだろうか。そんな悲痛な気持ちを持つ必要のない国で親をやっている幸せも噛みしめたい。

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