数字のマジック
数字を出されると説得力があるように思えてしまう。しかし、そこに数字の落とし穴もある。そもそも就職内定率の分母って何なのだろうか。調べてみると、就職を希望する大学生の数のようだ。なるほど、就職を希望した学生の何割が内定できたか、といった数字だということだ。この分母がどんどん増えていることをご存じだろうか。
少子化で子供の数が減っているにも関わらず、新設の大学は増え続けている。同時に高校生の大学進学率もどんどん上がっている。つまり、大学生の数は増え続けているのだ。逆に新卒の学生を必要とする企業がそれほど増えているわけではない。募集人数はそれほど増えないのに、応募する学生の数が増えていく。内定率が下がるのは当たり前だろう。
ある一定の偏差値をこえた大学に通う学生の就職内定率はそれほど下がっているわけではないはずだ。
大学のパンフはどれもきれいに作られている。中をぱらぱらとめくると、いかにも「夢」が実現するようなことばかりが書かれている。本当なのだろうか・・・!? 本当であるはずがない。工学部なのに、十数クラスもあって、実験や実習などほとんどおこなわれず、大教場での一方的な講義ばかりの大学などたくさんある。
だまされてはいけない。やはり、ある一定のレベル以上の大学でなければ、学業さえもまともに受けられないのが実際なのだ。そんなへっぽこ大学はすべてつぶしてしまえ、なんてことは言っていません。どんな大学にも存在価値はあるし、そこに通う意義はあるのですから。
ただ、明確な目的意識なしにそうした大学に進学してしまったとき、何となく行った先がそうした大学だったとき、そこから先に何が見えるのでしょうか。何も見えてこないはずです。仕事を選択する時期が大卒の時にかぎられる日本の制度にぼやいたところでしかたがありません。そうした仕組みの中でいかに自分をいかしていくか。それを考えるべきです。
先の先の先を考えて今から一歩を進めていきたいものです。