理系学部って就職に有利なの?

ここ数年の不景気から大学選択で理系学部を目指す生徒が増えている。理系学部の方が就職がしやすいだろう、といった考えからだ。はたして本当にそうなのだろうか。これから進路選択をする生徒(父母の方)にアドバイスをしたい。

一口に理系と言っても幅がある。薬学や看護、理学療法などの医療系の学部は、そこで学ぶことが資格取得につながりそのまま就職へとつながっていく。そうした意味では、学部選択がそのまま就職先を選んでいることとなる。

しかし、工学部や理学部、農学部などの他の理系学部はそのまま仕事とつながるかというとそうでもない。多くの理系学部の学生は、自分が大学で学んだことを仕事に結びつけようとすると研究職ということになる。この研究職というのは仕事としては難しい立場におかれる。あのIPS細胞の最先端の研究者でさえ、ほとんどが期間雇いのいわゆる非正規労働者だ。

理系学部の学生は学部4年の後大学院の修士課程2年に進むのが普通だ。少なくとも企業の研究職への仕事を見つけるのであれば最低限は6年間学ばねばならない。私立大学の場合、理系学部の授業料は150万円を越えるので、×6年と言うことは1,000万円の投資ということになる。

そうして6年間学んでも多くの学生は企業に文系就職するのが普通だ。商品開発や研究職として企業に仕事をもとめても求人がそれほど多くはない。しかも、修士卒より学部卒の方が文系就職をするのであれば有利だったりもする。とにかく理系学部が文系学部に比べて仕事に就きやすい、というのは幻想ともいえるわけだ。

ワタシの二人の子どもも理系学部だった。上の子は魚の魚病について、下の子は光合成について、遺伝子レベルで考えるといった研究をしていた。二人とも入学時は大学院への進学も考えていたのだが、結果的に学部卒で文系就職をした。上の子は商社で魚を扱っていて、下の子は一昨日に配属が決まり、地球温暖化対策を扱う部署に配属されたようだ。

二人とも大学で学んだこととつながっているようでいて切れている。それで良いと思う。大学選択時には好きでその系統に進んだわけで、それを仕事にムリして結びつけることはない。と同時に、二人とも理系学部だったからといって就活が有利だったこともない。文系学部、理系学部を問わずに就活はおこなわれる。

つまり、学部選択にあたって、理系学部は仕事に就きやすいから、といった発想をしてもほとんどムダだということだ。そんな発想をするなら、資格系の学部を選択すべきだ。そうでないなら、自分の興味、関心をもとにして進路選択した方が良い。そこでしっかりと自分をみがくことが、理系、文系を問わずに就活を成功させる道だ。