今春入試はどのようにおこなわれたか その3

新制度での今春公立高校入試では一部の学校に「特色検査」が導入された。実施したのは、柏陽・厚木・小田原・横浜翠嵐・希望ヶ丘・西湘(理数)湘南・平塚江南・YSFHといった学校。県内進学トップ校ばかりだ。

昨年までは共通問題以外に独自入試問題を実施していたのだが、それがなくなり、これらの高校では共通問題による5教科の入試以外に「特色検査」を実施したわけだ。事前に「こんな問題を出題しますよ」という問題例を学校説明会等で示していたので受験生はある程度問題に対処することが出来た。

どうして「特色検査」なのかというと、昨年までの共通入試問題はあまりに易しく、進学トップ校を受験する生徒は250点満点の230点〜240点のあたりに受験者が集中し、ちょっとしたミスが合否を分けることなっていたからだ。今年度から難易度が上がり500点満点になるといっても、高校側もどれだけ問題の難易度が上がるか疑心暗鬼だったところもあり、「特色検査」を導入したということだ。

また、入試というのは、本来は「こんな生徒に来て欲しい」というメッセージであって、これらの県内進学トップ校はそれぞれの高校の特色を「特色検査」でアピールしたい、ということもあるのだろう。実際、厚木高校は「英語と数学を中心とした応用的問題」、湘南高校は「論理的思考を徹底的に要求し日常性を掘り下げる問題」、翠嵐高校は「共通問題とは異次元の抽象性の高い難問」と、学校ごとにとても特長のある出題となった。

とくに湘南高校の出題はさすがだった。音楽や技術の知識も必要な数学の問題もだが、何よりも「新聞記事もうそをつく」という出題はたまげた。数学ももちいて新聞報道の矛盾を説明させる問題なのだが、日常を盲信せずに批判的にとらえろ、といったメッセージが浮かび上がってくる。孔子の発言の矛盾を突く出題もあり、湘南に来たい生徒は「反骨精神」をもってこい、と言われているような出題だった。

こんな「特色検査」に対処するにはどんな勉強が必要なのだろうか。どの高校の出題も壮なのだが、基本的に教科の枠にとらわれていないということだ。数学や英語の知識をベースに教科横断型の出題となっている。「やわらか頭」でなければ解くことが出来ない。

知識理解の面ではそれほど教科書レベルを逸脱はしていない。アウトプットの部分よりもインプットの部分の難易度が高いのだ。つまり、出題者の意図を理解する力が徹底的に求められている。そして、この部分が今のこどもたちに最も欠けている部分だ。

この「特色検査」の問題は、ある意味では15年間育ってきたこどもたちのすべてが試されているともいえる。家庭力そのものが問われているともいえる。普段からどれだけ論理的な会話が家庭でなされているか、といったことだ。

最後に、この「特色検査」を実施する高校は来春は増えるとワタシは考えている。共通問題が思ったほど難しくなかったことがその理由だ。来春入試の詳細は7月はじめまでには県教委から発表になる。