神奈川県の公立高校入試問題の分析 7

今日は国語の分析です。

まずは国語の解答用紙を見て下さい。

国語解答用紙

40字、110字、80字の記述が目につきます。配点もこの3問で20点となっています。正答率は、40字が34.1%、110字が18.1%、80字が22.9%です。一昨年までの出題と大きく変わったのはこの記述の量です。しかも、この記述の量は毎年のように増えています。2013年/50字、60字、80字→2014年/60字、80字→2015年/40字、110字、80字。

ただここで注意が必要です。記述問題というと、自分の意見を書く、と考えがちです。しかし、神奈川県の公立高校入試の記述問題は、要約、抜き出し、まとめ、といった出題です。正解がある出題です。正解があるということは、解き方の方法がしっかりとあるということを意味します。ですから、きちんと記述問題への対策をとっておきさえすればそれほどおそれることはありません。

たとえば問5の要約問題です。4人が自然環境の保全について意見を述べ合います。そしてAさんの発言の部分が空欄になっていて、そこを「70字以上80字以内」の「一文」でまとめます。しかも「私たちは、」という書き出しと「取り組むべきだ。」という結びも決まっていて、「私たちが意識すべきこと」と「具体的な二つの取り組み」という点にふれなさい、という条件まであります。ここまで条件を指定されると、ほぼ「ひとつの解答」しか正解にならなくなってしまいます。

つまり、神奈川県の公立高校入試の記述問題は、正確に問題文の指示を読み取り、その指示に従って本文から材料を集めてきて、その材料をつなげてまとめる、といった作業をすることなのです。何だか数学や理科や社会の出題と共通していますね。教科は違っても、この3年間の出題から見えてくる入試問題で求められるチカラは、しっかりとした「情報処理能力」ということなんです。

この問5の要約問題も、まずはしっかりと設問の指示を理解します。つぎに本文にもどり、キーワードに棒線を引いていきます。「具体的」や「大切」といった単語にしっかり反応していけばOKです。また、それぞれの発言のお尻の方に着目するなどといった基本的な読解法を知っていれば、わけなく記述のパーツに印がついていくはずです。あとは「主語と述語」の関係を意識して一文にまとめ上げれば完成です。

平均点も64.4点と5教科の中では最も高い国語です。理科との差は27点もあります。入試というのは5教科の総合得点で合否が決まります。比較的に得点が取りやすい国語で高得点をとることが志望校合格の絶対条件といってもよいでしょう。国語の強化こそが高校入試突破の近道です。易しいですが「量の多さ」は国語のポイントです。「はやく」読むチカラをしっかりとつけていきましょう。

最後に、来春入試では「理科が易しくなって国語の平均点に近づく」か「国語が難しくなって理科の平均点に近づくか」のどちらかが起こるはずです。国語を難しくするには、他の教科と同じように「設問と解答の距離を遠くする」方向での出題を増やすことです。そうした出題も他の都道府県の入試問題にたくさんあります。国語もそうした対策をしっかりととっておきましょう。

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