神奈川県の公立高校入試問題の分析 8

さて、いよいよ理科の問題分析にいきましょう。理科の得点分布については http://plaza.rakuten.co.jp/miyajuku/diary/201504230000/ で書いていますのでそちらを参照して下さい。今日は、何がこれほど理科の難易度を上げているのか、という点を中心に書いていきます。

理科の難易度を上げている要因は以下の二つです。

1 圧倒的な文字の量の圧迫感と情報処理を重視した出題
2 教科横断型の出題と知識よりも過程や原理を重視した出題

1については理科だけでなく他のすべての教科で神奈川県の公立高校入試問題の特長となっています。ある模試会社の調査によると、神奈川県の理科の入試問題で使われている単語数が9845単語、福岡県の4550単語、広島県の4021単語に比べると圧倒的に問題の文字量が多いことがわかります。

しかも、一昨年までの出題ですと、解答を導き出すのに必要ない問題文が多く、そこを読み飛ばしても解答を得られたのと違い、ここ2年の理科の出題では、ムダな単語が少ないのに問題文の量が多い、という傾向になっています。つまり、問題文の隅々まで集中して読み取っていかないと、何を聞かれているのかさえわからない、という問題になっているということです。

問6の問題です。解像度が低いので、細かいところまで見たい方は実際の問題を見て下さい。

理科問6

化学分野の問題で、このあとに(ア)から(エ)まで問題が続きます。正答率は、47.9%、31.4%、27.9%、21.7%と、理科全体からいうとそれほど難しくはなかった問題です。それでも、文字量だけでなく、表の数値を読み取ったり、実験から考察したりと、しっかりと情報処理が出来ないと全く太刀打ちできない出題です。

こどもたちにとっては、ふだんの定期試験がテストのすべてです。学校の定期試験は、絶対評価になってから、得点を正規分布させるために難しい問題も出題するということはなくなっています。あくまでも、ふだんの学習で学んだことが理解できているか、というのを試す出題ばかりです。正直、得点をつけることに意味はなく、それぞれの単元ごとに「理解しているか、していないか」をチェックするようなものです。

ということは、県入試の理科の出題のように、文字量も多く、図表からの情報処理が必要となるような問題を見たことも解いたこともない、というのが普通なのです。一昨年までであれば、12月からの入試問題対策で十分だったのですが、この出題に対処するには、もっと早く、少なくともこの夏の学習から「問題慣れ」していくことが必要になります。

何度も書いていますが、全国の公立高校入試問題の中から、「文字量が多く」「情報処理を必要とする」問題をピックアップしてきて解かせていく。そんな学習を少しずつ進めていくべきでしょう。理科の難しさは、理科的な知識の難しさではなく、出題のされ方、出題の意図するところ、の難しさだということ。知識を積み上げるのではなく、論理的に思考する訓練を問題を解くことを通じて鍛えていくことが唯一の対処方だということをしっかりとわかることです。

2については次回にゆずります。

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